『
お探し物は図書室まで』 青山美智子/著 ポプラ社
今年の本屋大賞で第2位に選ばれた小説です。
先週、久々に行くことが出来た書店の店頭で出会えました(^^)
東京のとある町を舞台にした物語で、様々な年齢や職業の人が登場します。
目次は
一章 朋香 二十一歳 婦人服販売員
二章 諒 三十五歳 家具メーカー経理部
三章 夏美 四十歳 元雑誌編集者
四章 浩弥 三十歳 ニート
五章 正雄 六十五歳 定年退職
東京に憧れて東京の短大に入学し、唯一内定を貰えた総合スーパーの衣料品売場働くことになった朋香。
彼女は田舎へ帰りたくないという想いだけで、このスーパーで働くことにしました。
自分の職場や仕事内容に不安や不満を抱いていますけど、どうにかする手段も考えも浮かびません。
そんな時、地域のコミュニティセンターの図書室で、レファレンスに対応してくれた司書に
ある本を紹介してもらったことから、彼女の生活や気持ちが少しずつ変化していきました。
他にも、会社に勤めつつ、アンティークの雑貨店の開業を目指そうと考え始めた諒。
出産を機に希望しない職場へ異動させられ、育児と家事と職場の両立にも悩んでいる夏美。
絵が好きでデザイン学校を卒業したけれど希望の職種に就けず、現在はニートの浩弥。
勤め上げた会社を定年退職し、その後の人生に生き甲斐を見つけられない正雄。
みんなそれぞれが自分の職場の立場や働き方、そして人生への向き合い方に悩みを抱いています。
彼らが悩んだ時、解決の糸口になるのがコミュニティセンターの図書室の司書・小町さんが選んだ本です。
意外にも思える本が彼らの心に光を与えていく展開がいいなあと思いました。
そう言えば、どんな本を読んでいても、どんな歌を聴いていても、
その時に抱えている気持ちに沿った答えが見つかるものだと聞いたことがあります。
登場人物たちが答えを見つけたのも本気で悩んで本気で本に向き合ったからかも知れませんね。
司書・小町さんの独特のキャラクターは最高です。
こんな司書さんに出会ってみたいなあと思ってしまいました。
また、登場人物たちはみんな近いところで生活していたり職場へ通っていたりしていて、
物語も少しだけクロスしていきます。そこも読んでいてちょっと楽しかったです。
読み終わった時、今日はこの本に出会えて良かったと心から思った1冊です(^^)
(20210425)
追伸
ちなみに今日の私がこの本で一番印象に残ったのは、二章での諒さんの職場でのつぶやきです。
「この程度なら悩み苦しむほどのことではない。
でも、僕が会社を辞めたいと思うのはこんなときだ。」
うん、解るなあとしみじみ思いました~