1930年代の中国を描いた舞台劇を唐の時代に移して映画化した作品です。
チャン・イーモウ監督らしく豪華で圧倒的で、そして残酷な人間ドラマを描いた大作でした。

紀元928年。唐の時代に栄華を極めた王家があった。
規律の正しさを尊ぶ国王(チョウ・ユンファ)と、別の王家から嫁いできた美しき王妃(コン・リー)、
そして繊細な第一王子、武道に優れた第二王子、天真爛漫な第三王子たちが
きらびやかな宮殿で優雅に暮らしていた。
9月。菊の節句<重陽節>に向けて、国王(チョウ・ユンファ)が遠征から帰還するという知らせがあった。
早朝から国王を迎えるために整列した後宮の一同だったが
国王は出迎え不要というお触れを出して帰還を伸ばす。
実は辺境の地の任務についていた第二王子(ジェイ・チョウ)を迎えに行ったのだ。
対面すると早速、第二王子と手合わせをし、その腕の上達を感じて満足しつつも警告を告げる。
“私の与えるものだけを受け取れ。与えないものは欲しがるな”と…

金と赤を基調とした宮殿の豪華さが凄かったです~
圧倒的な人数の女官たちが規律正しく起床するところから始まるストーリーは
その作られた規律の美しさの影で、次第にどろどろの愛憎劇になっていきます。

持病のために日々定期的に薬を飲む王妃。
王妃のために薬を調合するという優しさを見せつつも、実は密かに毒を仕込んでいる国王。
この二人のもたらした憎しみの連鎖が、息子3人を巻き込んで王家の崩壊へと繋がっていきました。

しかも、前半の展開はドラマだったのに、後半は圧倒的な戦闘シーンの連続!
ワイヤーアクションも大軍での攻防も出てきて、ハードなアクションがいっぱいです。
毒という静かで陰湿な手段から、謀反という直接的な手段へと移るにつれて憎しみの表現が凄まじくなってきて
もう、戦いのシーンは戦争映画のような血糊だらけになってしまいました(T_T)

それにしても、国王の力の見せ付け方は圧倒的でした。
宮殿や衣装の豪華さもさることながら、官人の数も統制の取れ方もすばらしく、
特に国王の意をくんで迅速に作業していく官人たちの動きは非情なくらいでした。
そしてそんな世界に負けない存在感のチョウ・ユンファとコン・リーのオーラもさすがだなあと感じました。

愛の無いところに生まれた憎しみの深さに怖さを感じつつも
憎しみも相手の強い存在感があってこその感情なのだなあとしみじみ思ってしまった1本です。

監督:チャン・イーモウ 出演:チョウ・ユンファ コン・リー ジェイ・チョウ
2007年製作 中国/香港  原題:CURSE OF THE GOLDEN FLOWER/満城尽帯黄金甲
(080321)



追伸
この映画は試写会で観ました。公開は4月12日以降の予定です。