ベストセラー小説を映画化した作品です。
一つの嘘によって引き裂かれてしまった愛の行方が美しい映像と音楽で綴られていました。

1935年夏。13歳のブライオニー(シアーシャ・ローナン)は多感な少女で、小説を書くのが大好き。
今日は帰省してくる兄を歓迎するために戯曲を書き上げた。
初めて書いた戯曲の出来を母にも褒めてもらって気を良くしたブライオニーだったが、
役者をお願いしようとした3人のいとこたちは乗り気ではなかった。
年上のローラはお姉さんらしく仕切ろうとするし、
年下の双子の男の子たちは遊びたい盛りで演劇の練習などまっぴらな様子。
劇が暗礁に乗りあげて失望していたブライオニーがふと窓に目を向けると、庭の噴水の前で
姉のセシーリア(キーラ・ナイトレイ)と使用人の息子ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)が
険悪な雰囲気になっているのを目撃する。
同じ大学を卒業して家に戻っていたセシーリアとロビーだったが
何故か二人は口もろくに聞かない間柄だった…

あまりの作品の美しさと物語の悲しさに、胸の奥までドーンと来ました(T_T)

やっと素直に結ばれることが出来たセシーリアとロビーの間を引き裂いてしまったブライオニーの嘘。
愛を信じて未来へと思いを馳せるセシーリアとロビーの前に立ちはだかった戦争の影。
犯した過ちの重さと運命の非情さは、悲しさだけではなく恐怖をも感じさせました。

また、戦場という無慈悲な世界を一瞬にして伝えた映像は
そのカメラワークや歌声と共に、心に焼きつくほどの迫力でした。

それにしても出演者たちがみんな印象的でした。
キーラ・ナイトレイやアカデミー賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンなどの女性陣はもちろんですけど
運命に翻弄されていくロビーを演じたジェームズ・マカヴォイの繊細な演技も本当に良かったです。

戦場へ赴く前の束の間に再会したロビーの「君と僕の間にはあの図書室の一瞬しかない」と
震えるように言った言葉が、あまりにも切なく心に残った1本です。

監督:ジョー・ライト 出演:キーラ・ナイトレイ ジェームズ・マカヴォイ シアーシャ・ローナン
2007年製作 イギリス 原題:ATONEMENT
(080326)



追伸
この映画は試写会で観ました。公開は4月12日以降の予定です。