山間の温泉場で出会った旅をするひとりの女と按摩との数日間を描いた物語です。
美しくて優しくて、少しだけもの悲しい一遍の詩のような作品でした。
清々しい山の風景と優しい物語に癒されました(^^)

昭和初期、春が夏に差し掛かる頃のこと。
二人の按摩が山道を急いでいた。
彼らの目的地は山間の温泉場。
いつも、冬は海近くの温泉場で過ごし
新緑の季節になると山間の温泉場へと移動していたのだ。
そんな二人を乗合馬車が追い抜かして行った。
そこには東京から来た一人旅の女が乗っていた…

1938年に発表された清水宏監督『按摩と女』をリメイクした作品です。
原作は未見ですけど、チラシによると、かなりオリジナルに近い作品を創りあげたそうです。
そのためか、昭和初期の時代がそのまま再現されたような
のどかで懐かしい雰囲気のする作品になっていました(^^)

目は見えないけれどとても勘が鋭く、まるで見えているかのように状況を把握できる徳市(草彅剛)と
東京から来た美しい女・美千穂(マイコ)との数日間の心のふれあいを描いています。
徳市は直感により美千穂をすぐに“いい女”と感じ、彼女の行動に注目するようになります。
彼女が何故この温泉場に来たのか、これからどこへ行くのか。
徳市にはそれが不明の上に、何故か彼女が不可解な行動を取っているように感じ始めます。
それでも徳市は彼女に惹かれていきます。
そんな徳市の恋の行方と美千穂の哀しみが静かに綴られていました。

草彅剛さんをはじめとする役者陣がみんな良かったです~
脇を固める人たちも上手い人たちが揃っていて、安心して物語に浸っていられました。
特に草彅剛さんと加瀬亮さんの掛け合いは可笑しくて楽しかったです。
またマイコさんの着物が似合う美しさも素敵で、昭和初期の雰囲気をいい感じに伝えてくれました。

観ている間も、観終わった時の余韻も、α波を浴びたように居心地が良かったです。
やっぱり日本映画っていいなあと嬉しくなるような1本でした(^^)



監督:石井克人 出演:草彅剛 加瀬亮 マイコ 広田亮平 堤真一
2008年 日本

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は5月24日以降の予定です。