公開前からずっと気になっていた作品です。1日(映画の日)なので、友達と観てきました。
映画館へ行くと、なんとその日は特別に監督さんのティーチインが付いていました\(^^)/
監督さんの想いや作品への理解がより深まって、とても充実した時間になりました。

日差しが眩しいある夏の日のこと。
横山家の台所では年老いた母(樹木希林)と娘(YOU)が昼食の支度をしていた。
今日は娘一家に加えて、次男一家もやってくる予定になっていた。
その次男・横山良多(阿部寛)は妻ゆかり(夏川結衣)と息子あつしを連れて、実家への道についていた。
実は、良多が実家へ顔を見せるのは久々だった。父との折り合いが悪いのだ。
行きの電車の中でも「泊りではなくて日帰りにしようか」と妻に提案するほどだ。
そんな夫に妻はもう泊ると伝えてあるのだからと諌めるように言った。
だが、妻も不安を抱えていた。
あつしは死別した前夫との間に出来た息子で、結婚して良多の実家へ行くのは初めてだったのだ。
夫婦はそんな不安を抱えながらも、バス停から階段を登ったところにある横山家にようやくたどり着いた…

長男の命日に集まった一家の一日を描いた物語です。
前半と後半で少し印象が変わる作品でした。

前半には娘の存在があります。
人に打ち解け難い父の偏屈さやストレートな母の毒舌が、娘の存在でさらりと流れて行きます。
特に樹木希林さんの演じる母とYOUさんの演じる娘との掛け合いは絶妙に可笑しくて
何度も笑ってしまいました(^^ゞ

そして娘一家が帰っていった後半は… 雰囲気がどんどん微妙になってきます。
今まで娘に軽くいなされていた母の毒舌が、今度はストレートに聴いている者の胸に飛んでいくのです。
子持ちで嫁いで来た息子の嫁を可愛がっているように振舞いつつも厭うような会話を始めたり、
夫の昔の罪を暴くようなことを突然に言い始めたり。
長年の間に溜まっていた解消されることの無い不満を少しずつ吐き出しているような
そんな哀しさを感じさせるシーンが展開されていきます。
特に長男が亡くなるきっかけとなった人物への深い恨みには怖ささえ感じられました。
でも観ているうちに、それもこれも子供への尽きない愛から生まれてきた感情だということに気付いていきます。

それにしても、強烈なお母さんでした(笑)
こんなお姑さんを持ったら嫁はちょっと苦労するだろうなという感じです(^^ゞ
でも、特別に意地悪という印象も無く、こういう人はいるだろうなあと思いながら観ていました。

“ちょっと間に合わない”というメッセージも含めて、観終わった後、様々な想いが過ぎった1本です。



監督:是枝裕和 出演:阿部寛 樹木希林 YOU 原田芳雄 夏川結衣 
2007年 日本
(20080801)

追伸
映画を観てタイトルの由来を初めて知りました。ちょっと予想外でした(^^ゞ