リアルドールを彼女にしたシャイな若者の物語です。
コミカルで優しくて心が温まるような作品でした。予想以上に面白かったです☆

小さな田舎町に住むラース(ライアン・ゴズリング)はシャイだけど心優しくて
住民からも良い若者だと認められている好青年。
そんなラースの困った点は人とコミュニケーションを交わすのが大の苦手で、
人から好意を持って話しかけられても上手く会話にならず、逃げ出してしまうところ。
ラースを心配する兄嫁のカリン(エミリー・モーティマー)は彼の顔を見る度に食事に誘うが
彼は彼女の誘いからも懸命に逃げていた。
ある日、会社の同僚がネットのサイトにリアルドールの通販が出ていることをラースに教えた。
その6週間後、ラースが兄夫婦に嬉しそうに紹介した彼女は、リアルドールのビアンカだった…

ラースとビアンカに接する住民たちの優しさに嬉しくなりました。

真面目に働いて普通の生活を送り、親切で優しい心を持つシャイな青年。
彼は変わり者の父親の手で育てられたためか、人との接触を極端に嫌がります。
遊びや食事、パーティなどに誘われてもすぐに断ってしまいます。
人と会話するのも苦手。人に触れられたりするのは痛いほどの苦痛を伴う程です。

そんな他人との間に距離を置かなくては生きていけないような弟が連れてきた彼女は人形です。
お兄さんたちにしてみれば本当にショックですよね。
でも、この物語の凄いところは兄嫁をはじめとするこの町の女性陣たちを中心に、町全体が
みんなラースと人形ビアンカを温かく迎え入れていくところです。

ちょっと前に「ブラインドネス」を観た時、社会学か心理学の実験を見ているようだなと思いました。
視力を無くした人が集められて閉じ込められたらどの様な反応が起きるかという実験です。
しかもそこに出てくるのは欲望と悪意ばっかりで、人間の嫌な面ばかりをさらけ出しています(T_T)
今回の作品は“人形のビアンカが表れたら住民にどの様な反応が起きるか”です。
このビアンカは住民の心を映し出す優しさのバロメーターみたいな存在になっていきます。

心温かい住民たちに認められたビアンカは社会性を持ち始め、仕事やボランティア活動まで始めます。
それまでは家で静かに自分のことだけを待っていたビアンカだったのに、
ラースの思い通りには行かない人形になってしまうのです。
人形とのコミュニケーションで社会性を作っていたラースが
人形が行動的になるにつれて、少しずつ精神的に大人になっていくところがとても面白かったです。
そして人形との社会性を通して、ラースに人としてのあり方を教えていく住民たちの温かさも素敵でした。

ラースに明るい未来がやって来そうな予感を感じさせるラストシーンを観ながら
こんなに面白い物語ならアカデミー脚本賞ノミネートもなるほど~と思った1本です(^^)



監督:クレイグ・ギレスピー 出演:ライアン・ゴズリング エミリー・モーティマー ポール・シュナイダー パトリシア・クラークソン
2007年 アメリカ 原題:LARS AND THE REAL GIRL
(20081202)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は12月20日以降の予定です。