ジャマール・マリク(デヴ・パテル)は薄暗い部屋で警察の尋問を受けていた。
彼は先ほどまで賞金番組“クイズ・ミリオネア”で最後の1問まで正解していた。
だが、スラム出身の無学な若者にそんな偉業は出来ないと疑った番組関係者が
彼を警察へ送ってしまったのだ。
警察はジャマールを殴りながら不正の方法を問い質すが、彼は無言を通す。
そして「(答えを)知っていたんだ」と呟いた。
それを聞いた警部(イルファン・カーン)は番組のビデオテープを映しながら
それぞれのクイズの答えをどうして知っていたかを聞き始めた。
答えの裏には彼の人生の全てが映し出されていた…
主人公の決して諦めない強い精神に圧倒されました~
幼い頃から自分たちの力だけで生きて来た兄弟と少女の人生を描いた物語です。
弟ジャマールは出会った時から少女ラティカのことを一途に想っています。
でも、運命のいたずらのように決して結ばれること無く、二人は出会いと別れを繰り返していきます。
現在携帯電話会社で事務のアシスタントをしているジャマールですけど、
そこまでたどり着くまでに、実に様々な体験をして生きてきました。
謂れのない迫害を受け、子供を道具としか見ていない大人に利用され、
それでも兄と共に機転を利かせながらお金を得て暮らしてきました。
そんなジャマールの人生はスラムドッグそのもののように過酷なものでした。
それでも、どんなに困難だと思われても彼が諦めなかったのはラティカへの想いです。
消息不明のラティカを必死に探し出そうとします。
その強い想いは、彼の生きる目的そのもののようでした。
それにしても町や人々の様子がリアルでした~
人で溢れかえる町の中を疾走するジャマールの体験がそのまま感じられるようでした。
映像も音も臨場感があって良かったです。
彼の人生と共に、大きな時代の流れに乗って変わっていくインドという国の様子が伝わって来ました。
そして、そんな激動のインドで語られる人生はファンタジーのように1つの愛へと繋がっていました。
パワー溢れるエンディングを観ながら、強い生命力を感じると共に
この作品が今年の賞を総なめしたのもしたのも分かるなあと思った1本です。
監督:ダニー・ボイル 出演:デヴ・パテル フリーダ・ピント マドゥル・ミッタル アニル・カプール イルファン・カーン
2008年 イギリス/アメリカ 原題:SLUMDOG MILLIONAIRE
(20090425)