“チョコラ”とはスワヒリ語で“拾う”を意味する言葉で、転じて“ストリートチルドレン”のことを指します。
彼らは鉄屑やプラスティックゴミを拾い集めて業者へ売り、金を得ています。
慣れたストリートチルドレンだったら、これで食べていくくらいは出来るそうです。
早朝から拾い始めて売り、食べ物を得て夜は車の下や軒下でビニールに包まって寝る。
彼らはそんな生活にすっかり慣れきっています。
そのためか彼らの姿には余裕が感じられ、意外に落ち着いても見えます。
でも、やはり彼らはいつもお腹をすかせていて、満たされない気持ちを抱えていました。
カメラは彼らに寄り添うように近くから撮影しています。
子供たちは時々不思議そうにカメラを見つめます。
何で自分なんか映しているのだろう…?そんな言葉をつぶやきます。
時には邪魔そうにされることもありますけど、
逆にカメラと共にいる日本人たちに親しげに声をかけてくるシーンも多く出てきました。
そんな言葉も全て拾って映像が綴られているのが面白かったです。
作品の中で印象的だったのは親子の関係です。
ストリートチルドレンたちは多くが家出少年たちです。
支援団体は彼らを更生させようと保護したり学校へ戻る手伝いをしています。
そのためにストリートチルドレンの少年たちと彼の実家へ赴き、親と話し合いをしていきます。
そんな時、大抵の親は子供を見放しています。自分の手には負えない子供だと訴えるのです。
そう言われてしまった子供たちは、放心しているように無表情で瞳もうつろです。
声をかけてもなかなか反応してくれません。まるで世界の全てを感じられなくなっているようです。
そんな彼らに語ってあげられる言葉はなかなか見つけられないなあと感じました。
一方、貧しいスラム街に暮らしていても、親から愛されて育てられている子供たちもいます。
母が手をかけて世話をしている子供たちは親を愛し、安心して暮らしています。
映画に出てきた26歳の母親は実は20歳の時にHIVの感染を宣告されています。
離婚後、二人の子どもを女手1つで育てていますが、ろくな職は無く貧乏です。
そんな貧しい食事を前にしても、母と一緒に食べられる子供たちは笑顔で楽しそうに食べています。
その無邪気な笑顔はやっぱり子供に与えられなくてはならない特権だなねと
ストレードチルドレンたちのことを思いながら観ていました。
ストリートチルドレンの少年たちがリズムと共に歌っていた何とも言い難い歌に胸が詰まりました。
観終わった時、彼らの時折見せた生き生きとした姿と
彼らと共に生きているNGOの人々の姿が心に残った1本です。
監督:小林茂 撮影:吉田泰三
2008年 日本
(20090512)