春が2階から落ちてきた。
それは奥野泉水(加瀬亮)にとって強烈な記憶だ。
2歳下の弟・春(岡田将生)が高校生の時、泉水はバットを持った春と一緒に高校へ行った。
無邪気について行った泉水は、春の目的が野球とは関係無いことを知る。
男子高校生たちが気に入らない女子生徒を襲う計画を知って阻止しようとしていたのだ。
騒ぎが起きかけているところにバットを持って乗り込んだ春は、全速力で男子生徒たちを追いかけ始めた。
そして2階から飛び降りてくると、逃げようとした彼らを激しくバットで殴り始めた。
凄まじい怒りを見せる春に泉水は立ち尽くすことした出来なかった…
鮮烈なオープニングからラストまで、じっと画面を見つめていました。
大学院で遺伝子の研究をしている兄・泉水。
グラフィック・アートと呼ばれる落書きを消すクリーニング業をしている弟・春。
じっくりと研究に取り組む泉水に対して、絵の才能に優れて運動神経も良い春は
あまり似ていない兄弟です。
泉水は背が高く容姿端麗な弟にコンプレックスを持ちつつも、慕ってくる弟を大切に思っています。
そんな二人の前に連続放火事件が現れます。
春はその放火はいつもグラフィック・アートの書かれた近くで発生していることに気付きます。
そして、春の撮った写真を見ていた泉水は
そのグラフィック・アートに法則があることに気付いていきます。
何故、連続放火事件は起きているのか。
そして、グラフィック・アートは何を伝えようとしているのか。
謎に近付こうとした泉水の前に、記憶の底にしまっていた
過去の忌まわしい事件が再び姿を見せ始めました。
それにしても、兄=加瀬亮、弟=岡田将生、父=小日向文世 というのは最高のキャストですね~!
映画の中で「俺たちは最強の家族だ」という台詞があるのですけど
この父がこの兄弟を前にして笑顔で言うと、本当に最強のような気になりました。
そして、彼らの紡いでいくストーリーは心の中にドンと響いてくる、
重いけど愛しく感じるような物語になっていました(^^ゞ
印象的な春のシーンとキャストたちの姿を思い出しながら、
もう一度、原作を読んでみたいなあと思った1本です。
監督:森淳一 出演:加瀬亮 岡田将生 小日向文世 鈴木京香 渡部篤郎 吉高由里子
2009年 日本
(20090515)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は5月23日以降の予定です。