かつては人気を博してレスリング界の大スターだったランディ(ミッキー・ローク)。
20年過ぎた今ではトレーラーハウスの家賃も滞るほどの苦しい暮らしぶりで、
近所のスーパーマーケットで働きつつ、週末に小さなホールで闘いを見せる日々を送っている。
観に来てくれた観客たちを楽しませるため、自分に出来る精一杯のパフォーマンスをし、
レスラー仲間からも尊敬と親しみの笑顔で迎えられていた。
ある日、ランディはいつもよりも派手な血みどろの戦いを終えた後、
控え室で急に気分が悪くなり倒れてしまう。心臓発作を起こしてしまったのだ。
バイパス手術により一命を取り留めたランディに、医者はプロレスを続けるのは無理だと告げた…
ミッキー・ロークの身体を張った熱演は涙無くしては観られなかったです(T_T)
主人公のランディは孤独な男です。
唯一の家族である娘とは音信普通で、心を開けるのはバーで働くストリッパーだけ。
そんなランディが一番幸せなのはリングの上で光を浴びている時です。
ホールで歓声を上げている観客たちこそが、彼の心の支えでした。
でも、長年酷使してきた彼の身体は限界に近付いていました。
闘いのシーンは本当に痛々しかったです~
作品の中にはプロレスのシーンが何回も出てきます。
ランディの体力的は全盛期とは比べ物にならないほど衰えています。
でも、彼は観客を楽しませるために全身全霊を懸けてリングの上に立ちます。
試合はパフォーマンスとして盛り上げるために、血を流すほどの見せ場を作ります。
それはもう幾らなんでも…と言いたくなるほど痛々しくて、観ているのが辛かったです。
それにしても『グラン・トリノ』がイーストウッド流の人生の終え方だとしたら、
この作品はミッキー・ローク流の男の生き方ですね。
ミッキー・ローク自身と重なるようなランディの人生の栄光と孤独をまざまざと見せてくれました。
そして、ミッキー・ロークはそんなランディの人生を演技を超えたリアルさで見せてくれました。
ラストシーンで光の中へと飛び込むランディの姿に心が震えた1本です。
監督:ダーレン・アロノフスキー 出演:ミッキー・ローク マリサ・トメイ エヴァン・レイチェル・ウッド
2008年 アメリカ 原題:THE WRESTLER
(20090603)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月13日以降の予定です。