1983年12月。クリスマスで賑わう郵便局で殺人事件が起きた。
窓口担当の黒人職員ヘクター・ネグロン(ラズ・アロンソ)がドイツ製の銃で
切手を買いに来た初老の客を撃ち殺したのだ。
ネグロンは3ヵ月後に定年を迎える真面目な職員で、第二次世界大戦では勲章を貰うほどの人物。
その後、ネグロンが黙秘を通していたこともあり、
警察は動機や被害者との関係がさっぱり分からないままだった。
ただし、警察が彼の家を家宅捜索したところ、第二次世界大戦中にナチスが壊した遺跡の頭部が
クローゼットの中から見つかっていた。
拘置所までネグロンを訪ねた新聞記者は
彼から遺跡の頭部とのつながりを聞き出そうとしたが口を割らない。
だが、ネグロンは無言の後に“眠る男を知っている”と一言だけ話した…
戦闘&虐殺シーンのリアルさがハードで、胸にドーンと来ました(T_T)
純粋で心優しいサム・トレイン(オマー・ベンソン・ミラー)。
大柄な彼はちょっとトロくて仲間からはお荷物にされていました。
でも、その無垢な心は仲間たちの優しさを引き出す存在でもありました。
無謀な戦略に送り出されたドレインを含む4人の黒人兵士が隊からはぐれて山間を彷徨います。
そんな中、トレインが瀕死の状態だった少年アンジェロ(マッテオ・スキアボルディ)を見つけます。
アンジェロを見捨てられなかったトレインは彼を保護し、大切に看護します。
また、初めて黒人を見たアンジェロもトレインを“チョコレートの巨人”と名付けて心を開き始めました。
悲惨な戦場の中で起きた小さな優しさにほほえましく思っていたのも束の間、
パルチザンの攻防や住民とドイツ兵との対立なども絡み合い、周辺の戦況が急激に悪化します。
そして、住民たちを巻き込む激しい攻撃の中で、
4人の兵士たちと少年の運命は大きく変わっていきました。
それにしてもスパイク・リー監督らしい映画でした~
黒人兵士たちへの厳しい差別と、平等に生きることの出来ない現状。
外国で始めて感じた自由と、その中で揺らいでいく祖国への複雑な想い。
そして戦場における狂気と無慈悲な虐殺。
観ていて辛いシーンもたくさんありましたけど、どれもが深く考えさせられました。
ひとつひとつのシーンが凝っている分長さもありますけど、その分見応えも感じた1本です。
監督:スパイク・リー 出演:ラズ・アロンソ オマー・ベンソン・ミラー デレク・ルーク マイケル・イーリー マッテオ・スキアボルディ
2008年 アメリカ 原題:MIRACLE AT ST. ANNA
(20090726)