東京から故郷の函館へと帰省してきた山吹摩耶(小雪)。
二人の引っ越し屋に荷物を運び入れてもらうと、彼女は彼らに心付けを渡した。
中身を見た一人が慌てて部屋へ取って返し、こんなに貰えないと彼女へ返そうとした。
袋の中には10万円が入っていたのだ。
だが、そんな若者に摩耶はそのお金で良い思い出を作ってくださいと言って微笑んだ。
次に外へ出て路面電車へ乗った摩耶は、終点で運転手の道上保(井坂俊哉)に挨拶した。
道上は摩耶の高校時代の同窓生で、路面電車と運転手という仕事を大切に思っている男だった。
道上の仕事が終わるのを待っていた摩耶は、二人でゆっくりと食事をしながら近況を語り合う。
摩耶が道上の高校の頃に話していた夢「世界の路面電車巡り」について尋ねると、
道上は「今は無理。お金も無いし…」と苦笑いしながらうつむいた。
そんな道上を見つめながら摩耶は「わたしが出してあげる」と言い始めた…
お金って何だろうなあと改めて考えさせられる物語でした。
摩耶と5人の同窓生の物語です。
世界の路面電車巡りを夢みている運転手・道上。
将来を嘱望されながらも足を故障して走れなくなっているマラソンランナー・孝(山中崇)。
自分を武器に玉の輿に乗ったとはしゃいで派手な生活を送っているサキ(黒谷友香)。
箱庭に夢中な夫と猫を愛し、慎ましく暮らしているさくら(小池栄子)
海の魚の分布を大きく変えてしまうような研究の成功を目指す、女癖の悪い満(小澤征悦)。
そんな彼らに摩耶は金を差し出していきます。
そして金は彼らを幸せにも不幸にもしていきました。
最後まで観ていても答えが明確に登場するような物語ではありません。
何故、彼女は友人たちに金を出そうとするのか。そこは何となく感じられる程度です。
でも、彼女が何かに悩んでいることは確かです。
その大きな悩みの1つがお金の使い道だったのかも知れません。
人には必要なお金がある反面、必要ではないお金もあるのです。
彼女が友人たちにお金を渡す姿を観ながら、お金って本当に使いようだなあと感じました。
それにしても、不思議な話でした~
ちょっとお伽噺っぽいところもあるのですけど、友人たちに起こる出来事はみんなリアルです。
お金は結局、使っている人の夢や行動を具現化するための手段でしかありません。
使い方を知らない人、自分の夢を持っていない人はお金の持つ力に負けて落とし穴に落ちていきます。
そして、幸せも不幸も結局は夢へ向かおうとする心の強さなのだなあと考えてしまいました(^^ゞ
観終わった時、お金って何だろうねと友達と話したい気持ちになった1本です。
監督:森田芳光 出演:小雪 黒谷友香 井坂俊哉 小澤征悦 小池栄子 山中崇 仲村トオル 小山田サユリ 藤田弓子
2009年 日本
(20091015)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は10月31日以降の予定です。