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副王家の一族 [は行]

フェデリコ・デ・ロベルトの古典小説「副王たち」を映画化した作品です。
ある一族の興亡を通してシチリアの歴史を描いた大河ドラマです。
貴族の当主の傲慢さと一族を覆う憎悪の強烈さに圧倒されました。

幼い頃からコンサルヴォ(アレッサンドロ・プレツィオージ)は父ジャコモ(ランド・ブッツァンカ)から
厳しいしつけという名の折檻を受け続けていた。
どんなことをしてもジャコモは息子のことを気に入らないのだ。
ウゼダ家の当主が亡くなり、弟ライモンドを含む兄弟の財産を独り占めしたジャコモは強大な権力を握った。
そして、コンサルヴォの母も一族の当主となった夫には何も逆らうことが出来なかった。
ある日、父の逆鱗に触れたコンサルヴォはついに修道院行きになってしまう。
僕は長男なのに何故と泣き出す息子をジャコモは清々とした顔で見送った。
そして何年かが過ぎた頃、ブルボン王朝の崩壊と共にイタリアが統一へと向かい始める。
軍の進出により修道院から開放されて喜んだコンサルヴォだったが、父の権力は健在だった…

権力の虜となった当主の狂気が怖かったです~

19世紀半ばから20世紀にかけての激動の時代を背景に
シチリアの副王家として名高い名家を渦巻く憎しみの人間関係を描いた物語です。
貴族として栄華を誇ったウゼダ家一族も大きな時代の波に飲まれていきます。
当主のジャコモは時代の変化を横目に見ながらも権力を手放さずにしがみつきます。
一方、そんな父を見てきた息子は、父とは正反対の道を歩き始めました。

それにしても、この当主はすごいです。
息子を悪の権化かのように憎み、娘は権力を拡大する道具としか思わず、
病床の妻を顧みずに浮気をし、妻の死の直後に再婚する男です。
そんな当主にとって財産を持たない者はたとえ血が繋がっていても蔑視の対象です。
自分に利用できない者は価値を認めないのです。
そして自分以外の全ての人間を自分の思うように縛り続けました。
当時、権力を守るためには当たり前のことだったのかも知れませんけど、
現代の視線で見ると本当に生きるのが辛い世界でしたね。

ここまで精神的に縛られたら、子供たちが自由がないと感じるのも当然だなと思いました。
特に、好きになれない男との結婚を強いられたコンサルヴォの妹テレーザと
彼女を愛したために人生を喪った従兄弟ジョヴァンニーノの運命にはため息が出ました。
美しい衣装と絢爛豪華に彩られた世界は、幸せとはあまりにもかけ離れていました(T_T)

父に抗いながら人生を歩んできたコンサルヴォの暗い瞳と
それでもしぶとく生き残った姿が心に焼きついた1本です。

hitsuji_I-VICERE.jpg

監督:ロベルト・ファエンツァ 出演:アレッサンドロ・プレツィオージ ランド・ブッツァンカ クリスティーナ・カポトンディ グイド・カプリーノ
2007年 イタリア 原題:I VICERE
(20091014)

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は11月7日以降の予定です。

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コメント 11

non_0101

takemoviesさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-18 11:19) 

non_0101

xml_xslさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-18 11:20) 

non_0101

トメサンさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-18 11:21) 

non_0101

siroyagiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-18 11:37) 

non_0101

aya_ruiさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-19 12:59) 

non_0101

shinさんへ
こんにちは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-19 12:59) 

たいちさん

イタリア版「華麗なる一族」とも評されていますね。シシリー島には観光旅行で3泊した経験あるので、機会あれば観たいですね。
by たいちさん (2009-10-20 13:11) 

non_0101

たいちさんへ
こんばんは。nice&コメントをありがとうございました!
たいちさんはいろいろな場所へ旅行しているのですね~
激動の歴史を背景に、父と息子の確執が描かれていました。
人間関係はかなり重いですけど、見応え充分な作品ですので
機会がありましたらチャレンジしてみてくださいね☆
by non_0101 (2009-10-21 23:02) 

non_0101

月夜さんへ
こんばんは。niceをありがとうございました!
by non_0101 (2009-10-21 23:06) 

KLY

私はむしろあの父親に共感しました。
革命の最中に副王家の末裔たるウゼダ家を守るのは、当時の家長
としては何にましても最優先事項だと思うんですよね。
そのへん『ブーリン家の姉妹』の当主にも似た感じがしました。
逆にコンサルヴォはなんという情けない奴なんだと。
誇るべき何物をも身に着けていない子供は親に反抗するのは10年
早いというのが私の持論なもんですから、簡単に言えばすねかじり
の分際で文句たれるなら出て行けっておもっちゃったりして。(笑)

by KLY (2009-11-19 23:14) 

non_0101

KLYさんへ
こんばんは。コメント&TBをありがとうございました!
なるほど、父親ですか~!名家を守る責任を全うするパワーは凄かったですね。
私はこの家自体が持つ呪いのような呪縛が怖かったです。
まるで洗脳されたように妹が結婚を決めてしまうところなど
怖いなあと思いながら観ていました。
家を守るということはこういうことなのかなあとしみじみ思ってしまいました(^^ゞ
by non_0101 (2009-11-21 00:18) 

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