スージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は初恋の人レイ(リース・リッチー)に夢中。
ショッピングセンターで姿を見かけたりすると、もう目が離せない。
派手でさばけているリンおばあちゃん(スーザン・サランドン)は
そんなスージーに自分が体験したファースト・キスの素晴らしさを語り聞かせた。
ある日、授業後の廊下でスージーはレイから声をかけられる。実はレイもスージーが好きだったのだ。
何とか週末に初デートをする約束を交わした二人は笑顔で別れ、スージーは一人家路を急いだ。
家へ帰る途中、彼女が刈り取りの終わったトウモロコシ畑を歩いていると、
近所に住むミスター・ハーヴィ(スタンリー・トゥッチ)に声をかけられる。
一旦はミスター・ハーヴィの誘いを断って家へ向かおうとしたスージーだったが、
彼の上手い誘いに、つい彼の導く地下壕へ入ってしまった…
彼女の心の変化によってクルクルと変わっていく不思議な風景に見入ってしまいました~
一人の少女の死から始まる物語です。
初恋やファースト・キスにときめき、将来は動物カメラマンになりたいと夢みるスージーは
突然、その命を絶たれます。
彼女の魂が天国の入り口までたどり着いた時、彼女はそこへ留まろうとします。
残してきた家族のこと。自分の命を奪った犯人のこと。そして、叶わなかったファースト・キスへの憧れ。
様々な想いがまだ彼女の中に渦巻いていたのです。
そして、彼女は思い悩みながらも家族や初恋の人、犯人をそっと見つめ始めます。
彼女は哀しみのために自暴自棄に陥る父(マーク・ウォールバーグ)の姿を涙と共に見つめます。
その時、彼女の強い想いはかすかな空気のゆれとなって父へと届きます。
そして、父は未だに捕まっていない犯人への憎しみを募らせ、犯人探しに夢中になって行きます。
一方、母は(レイチェル・ワイズ)自分を省みなくなった夫の姿に疎外感を持ち、
娘を失った哀しみをひとりで抱えきれなくなって、とうとう家を出てしまいます。
そんな家族の崩壊はスージーの胸を痛めました。
また、彼女は初めて強い憎しみを知ることになります。
死を願うほどに自分の人生を奪った犯人を憎むのです。
でも、自分の憎しみが家族に影響を与えているのではないかと感じ、その憎しみを超えていきます。
そんな家族への愛によって成長していくスージーの強さは、観ている者の心も揺さ振りました。
それにしても、スージーを演じたシアーシャ・ローナンの笑顔が可愛かったです。
その輝くような笑顔を観ていると、スージーがどれだけのものを喪ったのかが伝わってきました。
そして、彼女の生き生きとした姿に切なさで胸が痛みました。
最後に彼女が願ったことは、本当に純粋な想いからの願いでした。
その願いに14歳という可愛さを感じて、最後まで切ない気持ちが心に残った1本です。
監督:ピーター・ジャクソン 出演:シアーシャ・ローナン マーク・ウォールバーグ レイチェル・ワイズ スーザン・サランドン スタンリー・トゥッチ ローズ・マックィーバ
2009年 アメリカ/イギリス/ニュージーランド 原題:THE LOVELY BONES
(20091222)
追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月29日以降の予定です。