台北に舞う雪

台北を舞台に描いた純愛ストーリーです。
昨年の東京国際映画祭で観ることが出来なかったので、とても気になっていました。
チェン・ボーリンが演じた主人公の天真爛漫な笑顔が印象的でした～

ある若い女性が小さな駅へ降り立った。
彼女は新人賞を獲って人気上昇中の歌手メイ（トン・ヤオ）。
誰にも言わずに仕事を投げ出し、失踪してきたのだ。
彼女が降りた小さな町・チントンにはモウ（チェン・ボーリン）という天涯孤独の青年が住んでいた。
彼は幼い頃に父を亡くし、間も無く母も家を出て行った。
育ててくれた祖母も彼が子供の頃に亡くなったため、その後は優しい町の人々に育てられてきたのだった。
成長した今でも、彼はその感謝の気持ちを忘れず、人々の依頼に応じて手助けをしながら
毎日、町中をくるくると忙しそうに走り回っていた。
その日、食堂のおばさんに、深酔いしてしまったメイを宿屋まで送るように言われたモウは
彼女をお勧めの安い宿屋へと連れて行った。
宿帳に名前を書くため、モウに名前を尋ねられたメイは、なかなか答えることが出来ない。
実は彼女は大切な声を失っていた…

大人の純愛だなあと感じる作品でした。

上京して都会の華やかな世界で成功を収めたが精神的に疲れ果ててしまったメイ。
町の人々を家族のように大切にし、みんなに笑顔と温かい心を与えるモウ。
そんな二人の恋の物語です。

都会から逃げるようにチントンに来たメイは、部屋を借りて住み始めます。
小さな食堂でバイトをしながら働く日々を送りながら、彼女は都会に残してきた恋と夢を
部屋の片隅でじっと見つめています。
一方のモウは本当に誰にでも親切な青年で、
チントンに迷い込んできたメイを心配して手助けしていきます。
そんなモウの気持ちが恋に変わるのはあっという間でした。

でも町の誰もが、メイがこの町に居つくとは思っていません。
彼女はこの町には輝きすぎているのです。
二人を前にみんなが、モウは本当に優しい男だから彼と一緒になる女は幸せになるよと言うのですけど
恐らく、それはモウに幸せになってもらいたいと願う町の人々の願いなのかもしれないなと感じました。

メイの声を取り戻して歌手として復活させたいと願う反面、彼女との恋を願ってしまうモウ。
彼は本当に甲斐甲斐しくメイを世話し、彼女の姿を見るだけで満面の笑顔を見せるようになります。
彼にもメイが去っていくことは分かっていたのですけど、その恋心を止めることは出来なかったのです。
そして、そんな純粋な青年モウに人懐っこい笑顔が似合うチェン・ボーリンはピッタリでした。

静かに相手の幸せを想うという主人公の姿に、久々にきれいな純愛物語を観たなあと感じた1本です。



監督：フォ・ジェンチイ　出演：チェン・ボーリン　トン・ヤオ　トニー・ヤン　モー・ズーイー　テレサ・チー　ジャネル・ツァイ
2009年　中国/日本/香港/台湾　原題：SNOWFALL IN TAIPEI
（20100115）

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2月20日以降の予定です。