結婚20周年記念旅行で夫(鶴見辰吾)の計画したヨットでの世界旅行へ出た清子(木村多江)。
だが、ヨットは嵐で難破し、二人は無人島にたどり着いた。
日々の食料を手にするために積極的に行動する清子とは対照的に、夫は住処に引きこもってばかり。
清子は都会からいろいろ持ってきた荷物の中で一番不要なのは夫だと自覚し始めた。
そんなある日、過酷な労働から逃げ出した若者たち16人が島に流れ着いて来た。
間も無く、夫が崖から身を投げる事件が起き、清子は若者たちの中でも一番強いカスカベ(山口龍人)の妻となった…
この主人公って、何という言葉が似合うだろうなあと思いながら観ていました(^^ゞ
無人島でただ一人となった女性の物語です。
彼女は特に強い人という訳ではなく、ごく普通の女性です。
最初も、夫の計画に従って旅に出ただけなのですけど、いざ無人島に着くと夫よりも能力を発揮し始めます。
蛇を石で仕留めて皮を剥ぎ、何とか食べて生きていこうとします。
一方の夫と言えば、食べ物の絵を紙に描いてはため息をついて、食欲が無いと言うばかり。
その行動力の差はどこから来るのだろうなあと思いながら観ていました。
彼女の一番の凄いところはその順応性かも知れません。
食べ物が必要なら最低限は確保しようと頑張るし、
夫よりも強い男を見つければ、あっさりと乗り換えます。
乗り換えた男がいなくなっても、新たに男をあてがわれると、
自分はただ一人の女だからと納得して、すんなり新しい夫として愛するようになります。
ちょっと面白いのは、それぞれの男をちゃんと愛していくところです。
彼女は普通の女性ですけど、愛情深い母性的な面もしっかり持っているのです。
もう一つ面白いなあと思ったのは、食に対する欲望の強さです。
彼女は愛情よりも食欲を選びます。
その潔さには思わず笑ってしまいます。
そして、食=生きること に直結しているような生き方に、何となく納得させられてしまいました。
観終った時、女って何のかんの言ってもタフなのね~としみじみ思った1本です。
監督:篠崎誠 出演:木村多江 窪塚洋介 福士誠治 柄本佑 木村了 テイ龍進
2010年 日本
(20100817)
→
公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は8月28日以降の予定です。