ジョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)には“ポンペ病”の子供がいた。
“ポンペ病”とは次第に筋肉が衰えていく病気で、
原因は解明されてきたが、まだ治療薬は開発されていなかった。
ジョンはポンペ病についての研究文書を読んでいくうちに、
その病気の研究ではロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)が抜きん出ていることに気付く。
博士に話を聞きたいと思ったジョンは何度か電話を入れるのだが、なかなか話が通じない。
そんな中、ポンペ病の8歳の娘メーガン(メレディス・ドローガー)の様態が一気に悪化した。
瀕死の状況から何とか一命を取り留めた娘の姿が頭から離れなくなったジョンは
いても立ってもいられなくなり、突然、会社の会議中にも関わらず、
ストーンヒル博士を訪ねに飛び出してしまった…
奇跡は努力と友情と子供たちへの愛情から生まれていきました。
ハリソン・フォードが製作総指揮にも名を連ねたヒューマン・ドラマです。
ポンペ病の2人の我が子を救うために新薬の開発、製品化へ向けて必死に頑張る父親の姿と
彼に協力するちょっと偏屈だけど研究熱心な博士との友情を描いています。
新薬は簡単に生まれるものではありません。まずは莫大な資金が必要になります。
そのために、まずジョンはポンペ病の子供たちのための財団を作って資金を集めようとします。
でも、最低限必要とされる額の1/5も集めることが出来ません。
そんなジョンにストーンヒル博士はベンチャー企業の立ち上げを提案します。
大学での研究に寄付するという形ではなく、自分たちで製薬会社を作ろうというのです。
早速、資金を借り出すために投資会社へプレゼンをしに行った二人は、
これまで机上のものでしかなかった博士の理論を現実の薬にすることの難しさを実感します。
怒りに駆られ会議の場で飛び出してしまった博士の態度から流れそうになった提案を
ジョンが必死に説得していきます。
破格の条件を提示してなんとか資金調達へと漕ぎつけた彼らは、新薬への製作へと乗り出しました。
そんな二人の前に、再び資金難という問題が浮上します。
なかなか成果の上がらない状況に、投資会社が尻込みし始めたのです。
ジョンはやはりポンペ病の新薬を研究している製薬会社へ自分たちの会社の身売りを考えます。
ジョンには答えるのが辛いような厳しい質問も出てくる、ビジネスライクな話し合いの結果、
その製薬会社は二人のベンチャー会社を買ってくれることになりました。
合意を取り付け一安心と思った二人ですけど、博士の偏屈さや研究者ではないジョンへの反発から
二人は製薬会社の中で微妙な立場へと追いやられていきます。
特に博士はメインスタッフから取り残され、ジョンとの間に大きな亀裂が入ってしまいました(T_T)
そんなジョンを支えたのは我が子を治療したいと願う愛情の強さです。
ジョンを嫌う製薬会社のスタッフも、ジョンに裏切られたと怒りを爆発させた博士も
彼が一途に我が子を助けるために行動しているということを理解していきます。
そして、その愛情は小さな奇跡へと向かっていきました。
それにしても、ハリソン・フォードは偏屈な博士が似合いますね~
観ながら、頑固さが似合う年齢になったのだなあとしみじみ思いました。
あと、コメディの印象が強いブレンダン・フレイザーも愛情深い父親にぴったりで、
彼の自然な雰囲気に観ている方もいつの間にか熱心に応援してしまいました(^^ゞ
主人公はあくまで新薬を作ろうとした父親なので、ビジネスの難しさとか誇り高い研究者との葛藤とか
大人の事情の難しさが中心になっていました。
でもやっぱり子供たちの笑顔を観た時、静かな感動が胸の中に生まれてきました。
観終わった後、とても爽やかな気持ちで劇場を後にした1本です(^^)
監督:トム・ヴォーン 出演:ブレンダン・フレイザー ハリソン・フォード ケリー・ラッセル メレディス・ドローガー ディエゴ・ベラスケス サム・H・ホール
2010年 アメリカ 原題:EXTRAORDINARY MEASURES
(20100819)
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