約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

エリザベス・ノックス著の小説を映画化した作品です。
予告編を観た時、美しい天使とワインがどのように結び付くのかなあと気になっていました。
19世紀初頭のフランスに広がる美しい葡萄畑と、ワイン造りの過酷さが印象的な作品でした。

葡萄畑の小作人ソブラン（ジェレミー・レニエ）は、いつかは自分のワインを造りたいと夢見る青年。
彼は美しい娘セレスト（ケイシャ・キャッスル＝ヒューズ）と恋に落ちていたが、
彼女の父が精神的な病を患っているため結婚に反対されていた。
ある夜、そんな彼の元に天使（ギャスパー・ウリエル）が舞い降りてきた。
その天使に魅了されたソブランは天使と一晩語り合い、お互いに知己の友人のような絆を感じ始める。
その話の中で天使は彼の恋人との結婚を祝福するような言葉をかける。
そして、天使は毎年同じ日に会うことを約束して空へと去って行った。
ソブランは天使の言葉に従い、セレストとの結婚を決意した。
そして1年後の約束の日に、再び天使は舞い降りてきた…

ワインの不思議な魅力に惹かれました～

ワイン造りに生涯をかけた男の物語です。
彼はしがない小作人でしたけど、ワインにかける情熱は人一倍ありました。
ワイナリーである伯爵にも認められるその才能をもとに、彼は自分のワイン造りを始めようとします。
でも、何をするにも元手が必要です。
彼はお金を稼ぐために年老いた父と身重の妻を残してナポレオン軍へと参加します。
でも、それは彼に過酷な時間と絶望を与えただけでした。

彼が家へ戻ると父は過労から亡くなっており、子供も既に生まれていました。
父の死にショックを受けた彼は、次に天使が現れた時に、なぜ止めてくれなかったのかと言い寄ります。
その答えは、言っても君は止めなかっただろうというものでした。
天使と言えども人を説得させる力はないのかと思うのと同時に、
その天使のあいまいさに人間らしさを感じて面白かったです。

その後、彼は自分が造った初めてのワインで伯爵の信頼を得ます。
彼のワインへのこだわりが認められたのです。
一時は子供たちに食べるものも与えられないほど極貧の状態だったのですけど、
ようやく彼の夢に近づきます。
でも、ワイン造りはそうそう上手くいくものではありませんでした。

それにしても、雰囲気の美しい作品でした。
葡萄畑の広がる風景や19世紀の生活様式もですけど、何と言っても天使が登場するのが面白いです。
天使役のギャスパー・ウリエルの圧倒的な存在感が、ワイン造りだけでは終わらない物語を創り上げていました。
また、主人公を演じたジェレミー・レニエ、妻役のケイシャ・キャッスル＝ヒューズ、
そして主人公に惹かれていく伯爵の姪を演じたヴェラ・ファーミガも役にぴったりで素敵でした。

この映画を観て、ワインは奥深いのね～と思いました。
実はアルコールが全くだめなので、ワインの素晴らしさもよく分からないのです(T_T)
この作品で少しはワインの魅力を理解することができたかなあとちょっと感じた1本です。



監督：ニキ・カーロ　出演：ジェレミー・レニエ　ギャスパー・ウリエル　ヴェラ・ファーミガ　ケイシャ・キャッスル＝ヒューズ
2009年　フランス/ニュージーランド　原題：THE VINTNER'S LUCK
（201010）

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追伸
この映画は試写会で観ました。公開は10月23日以降の予定です。