これまでは治すことの出来なかった病気が治るようになり、平均寿命が100歳を超えた世界。
若いキャシーは優秀な“介護人”として人生を送っていた。
彼女は幼い頃から特別な寄宿学校ヘールシャムで生活していた。
その頃、キャシー、ルース、トミーの3人にとっては、学校の中だけが世界のすべてだった。
そして、キャシーはトミーに密かな好意を持っていて、トミーも彼女のことが好きだった。
ある日、学校にやって来た若い教師が子供たちに自分たちに待つ特異な運命のことを教えようとする。
だが、生徒たちが理解する前に教師は学校を去ってしまった。
そして18歳になると生徒たちは学校を卒業して行った…
運命を静かに受け入れながら人生を送る彼女たちの姿がとても切なかったです(T_T)
子供たちが集められた寄宿学校ヘールシャム。
子供たちはみな普通に学校生活を過ごしていますけど、校門の外を出たことがありませんでした。
垣根を越えた打球を取りに行かないことを不思議に思った新任教師がそのことを子供たちに尋ねると、
生徒たちはみな学校の外に出ると悪いことが起きて命を失うと信じていたのです。
伝説のように語られる、外に出た男子生徒と女子生徒に待つ運命の物語は
生徒たちの間では当然の認識でした。
生徒を学校に閉じ込めておくために作ったらしい話を今でも固く信じている生徒たちの姿に、
その新任教師は心を動かされます。
でも、自分の職を投げ打ってまでも、一度授業で話したくらいでは
生徒たちに全てを伝えることは出来ませんでした。
そんな学校生活の中でも恋心は生まれます。
賢くて大人しいキャシーは、いつも仲間外れにされているトミーのことが気になっています。
トミーもキャシーのことが好きなようで、授業中でもお互いに目を合わせては微笑み合っていました。
そんなある日、ルースがトミーに接近し始めます。
そして彼女の見ている前であっさりとトミーを奪い去って行きます。
でも、キャシーとトミーが互いに抱いた恋心はずっと胸の奥に残っていました。
それにしても不思議な物語でした。
長寿の世界という点ではSFですけど、メインはラブストーリーです。
しかも時代が未来ではなく過去なので、英国特有の美しい風景の中で展開されて行きます。
そして、その中でキャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、
キーラ・ナイトレイという役者を揃えて描く物語からは
淡い恋心と激しい想い、そして運命を受け入れて失って行く人生の切なさが伝わって来ました。
観終わった時、切なさで胸がいっぱいになった1本です。
監督:マーク・ロマネク 出演:キャリー・マリガン アンドリュー・ガーフィールド キーラ・ナイトレイ シャーロット・ランプリング
2010年 イギリス/アメリカ 原題:Never Let Me Go
(20101030)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開予定は2011年3月26日以降の予定です。