病院のロビーで出産を待ちかねている父娘がいた。
幼い少女は赤ちゃんに母親が奪われてしまうと心配していたが、父のお母さんはお前が大好きだという言葉に安心し
早くみんなで動物園に行きたいなあと笑顔で話すようになった。
待ちくたびれて眠っていた少女が目を覚ますと、そばには父の姿が無かった。
母親を呼びながら廊下を走った少女は、亡くなった妻にすがりながら泣き崩れる父の泣き声と
呆然と立ち尽くす医師・三枝久広(大森南朋)を目の前にして立ちすくんだ…
新しい生命の誕生を心から祝いたくなるような、優しい気持ちになる作品でした。
息子が地方病院で医療事故の疑いで逮捕されて以降、産婦人科のマリアクリニックでは
患者が減少し現在は4人の妊婦のみ。
しかも、院長の三枝茉莉亜(浅丘ルリ子)は末期がんで寝たきりの状態です。
実際に診察を請け負っていたのは帝華大学病院講師の曽根崎理恵(菅野美穂)で、
大学の反対を押し切りこのマリアクリニックへ通っていました。
彼女は講師という弱い立場です。
トップにいる屋敷教授(西村雅彦)、清川助教授(田辺誠一)には逆らえません。
それでも、理恵は4人の妊婦たちを最後まで見届けたいと通い続けていました。
権力と保身を一番に考えている屋敷教授とは違い、清川は本心から理恵のことを気遣っています。
でも、彼がいくら心配をしても理恵は心を開こうとしません。
彼女には秘めた目的があったのです。
そのうち、清川はマリアクリニックについて、ある噂を聞きつけます。
代理出産が行なわれているのではないかというのです。
もし本当なら学界を揺るがす大問題です。
理恵の真意を問うため、清川は密かに彼女を見張り始めました。
それにしても出産シーンはリアルに大変そうでした。
原作よりもハードな状況なので、ここまでしなくても…とちょっと思いながら観ていました^_^;
でも、それがあるからこそ、赤ちゃんの誕生シーンはいっそう感動的になっていました。
そして、映画全体から新しい命の誕生を祝うメッセージが伝わって来ました。
正直、原作では描かれていた新しいマリアクリニックの状況を映画でも観たかったなあと思いつつ、
原作よりも素直に医療現場の大変さと出産の難しさを感じさせてくれた映画版もありだなと感じました。
人の命の大切さを改めて感じると共に、医療とは何だろうなあと考えさせられた1本です。
監督:大谷健太郎 出演:菅野美穂 田辺誠一 浅丘ルリ子 風吹ジュン 南果歩 大杉漣 桐谷美玲 白石美帆 濱田マリ 大森南朋
2011年 日本
(20101214)
→公式サイトはこちらへ http://gene-waltz.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は2011年2月5日以降の予定です。