4世紀。エジプトのアレクサンドリアでは、古来の神の信仰と共に、学問への探求を大切にしていた。
聡明で美しいヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は生徒たちに慕われながら、
数学や天文、哲学などの授業を熱心に行なっていた。
だが、ローマ帝国の勢いが斜陽になる中、アレクサンドリアでも新興宗教であるキリスト教やユダヤ教が勢力を伸ばしてきて、
古来の宗教を信じる神官たちと対立し始めていた。
ある日、自分たちの神を愚弄された神官たちがキリスト信者へ復讐を計る。
暴力による制裁を行なおうとしたのだ。
ヒュパティアはその場で止めに入ったが、怒りで我を忘れた神官たちは聞く耳を持たなかった。
そして、神官たちが起こした暴動は予想外に増えていたキリスト信者の反撃にあい、
反対に異教徒の弱者へと立場を落としていった…
自分の意思を大切にしながら人生を歩み続けた女性ヒュパティアの運命があまりにも切なかったです(T_T)
純粋に学問が好きなヒュパティアは、熱烈な求婚にも首を振って学問の道を進み続けます。
ただ純粋に学問が好きで、そして真っ直ぐに正義を求める彼女が夢中になったのは天文学です。
惑星の動きと地球の動きの関連性や、そこから導き出される地球の動き方について、
いつも思考をめぐらせていました。
でも、彼女が学問に夢中になっている間にも、ローマ帝国は衰え始め、新興宗教が広まり始めます。
今、世界中で大きな革命が起きていて、革命ドミノとか言われていますけど、
4世紀頃の世界でも、一種の革命ドミノが起きていたのかも知れませんね。
瞬く間に、新しい宗教と一緒に広がっていきます。
その上、生徒たちがみな出世して力を持ち始めていたので、
彼女に自覚は無くとも政治的な力も持ってしまっていました。
そして、昔からの宗教を持ちながら自分の思う正しい道を通そうとする彼女は
新しい宗教家たちにとって、ただの邪魔者になってしまっていました(T_T)
それにしても…
いくら時代とは言え、女性と言うだけで学問を禁じられてしまうなんて、不公平な世界だなと改めて感じると同時に
そんな世界で学問を目指すことの難しさを感じました。
また、学問大好きな主人公ヒュパティアにレイチェル・ワイズの賢そうな表情がとても似合っていて、
思わず応援したくなりながら観ていました(^^ゞ
途中に何度か登場する俯瞰した地球の光景が印象的でした。
その地球の姿を観ながら、いろいろな価値観の違いもいつかは「乗り越えられる時が来ると
ちょっと希望を感じた1本です。
監督:アレハンドロ・アメナーバル 出演:レイチェル・ワイズ オスカー・アイザック マックス・ミンゲラ マイケル・ロンズデール アシュラフ・バルフム サミ・サミール
2009年 スペイン 原題:AGORA
(20110223)
→公式サイトはこちらへ http://alexandria.gaga.ne.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は3月5日以降の予定です。