少女たちの羅針盤

水生大海著の同名小説を映画化した青春ミステリーです。
原作は未読なので、高校生たちでどんなミステリーになるのだろうと楽しみにしていました。
少女たちの舞台にかける想いと交差するように発生する死の切なさがドーンと胸に来る作品でした。

女優の舞利亜はマネージャー（石井正則）と共に、ネットシネマの撮影で故郷・福山市へやって来た。
撮影場所は廃墟となった建物だ。
監督（前田健）も地元出身で舞利亜とは顔なじみだ。
マネージャーが監督に舞利亜の演技の良さを伝えようとすると、監督は分かっていると答えた。
実は監督は舞利亜が4年前に伝説を作った女子高生劇団・羅針盤と関わりがあったことを知っていたのだ。
だが、羅針盤のことはマネージャーにも秘密にしていた過去だった。
そして、マネージャーが先に移動した後、マリアの楽屋には
過去の殺人事件をほのめかすメッセージが残されていた…

4人の少女たちの舞台にかける姿はキラキラ輝いていました。

現在と過去を交差させて綴る青春ミステリーです。
現在では後姿しか見せていない舞利亜という女優が撮影に入ろうとしています。
その撮影の間に、彼女のもとへ過去の殺人事件の証拠に関するメッセージが届きます。
彼女はそのメッセージを見て、証拠など残していないと呟きます。
なので、舞利亜が4年前に起きた殺人事件の犯人らしいのですけど、
ラスト近くまでこの舞利亜が誰なのか、そもそも誰が殺されたのかも明かされません。
謎解きは最後までのお楽しみなのです。

そんな陰鬱で緊張した現在とは違って、過去の物語は思いっきり輝いています。
演劇部の不甲斐ない先輩や目の敵にする先生に嫌気の差した瑠美（成海璃子）は、
部を飛び出して自分たちの好きな劇の出来る劇団を作ろうと考えます。
仲間は仲の良い梨里子（森田彩華）とかなめ（草刈麻有）です。
二人は無鉄砲に突っ走る瑠美のよき理解者でもありました。
その3人に彼女たちに、彼女たちにスカウトされた別の高校に通う蘭（忽那汐里）を加えた4人組が劇団・羅針盤です。
そして、彼女たちの劇はストリートからコンクールの舞台へとどんどん進化していきました。

それにしても、4人の高校生たちはみんな一生懸命でした～
真摯に舞台を成功させようと、日々努力している姿には思わず応援したくなります。
まずはストリートから始めようと、自分たちで様々な工夫をして観客を引き付けることが出来ました。
そして、スポットライトを浴びての初めてのステージ。
その中で彼女たちの伝えたい想いがそのままスクリーンから真っ直ぐに伝わって来ました。

誰が殺されて、誰が犯人かが分かった時、切なさで胸がいっぱいになりました。
観終わった時、本当に美しく感じるラストシーンと共に彼女たちの想いを忘れないと思った1本です。



監督：長崎俊一　出演：成海璃子　忽那汐里　森田彩華　草刈麻有　黒川智花　清水美沙　戸田菜穂
2010年　日本
（20110509）

→公式サイトはこちらへ　http://www.rashinban-movie.com/

追伸
この映画は試写会で観ました。公開は5月14日以降の予定です。