1916年、ドイツ軍と連合国軍はフランス国内で戦いを繰り広げていた。
連合国軍領土内であるイギリス軍大佐の葬儀中に、突然、複数のドイツ軍機が飛来してきた。
爆撃機から何かが落ちてくるのを見た参列者は、爆弾だと慌てて逃げ惑う。
だが、落ちて来たのは、大佐への敬意を込めた花輪だった。
爆撃機を操縦していたのは、リヒトホーフェン(マティアス・シュヴァイクホーファー)とその仲間たち。
彼らは敵ながら好敵手として敬意を持っていた相手への別れにやって来たのだ。
そこからの帰還する最中、偶然に敵軍と出会って交戦し敵機を撃墜した。
墜落現場に赴いたリヒトホーフェンは、重傷を負ったイギリス軍のロイ・ブラウン(ジョセフ・ファインズ)を
墜落機から助け出すと、看護師のケイト(レナ・ヘディ)に引き渡した…
憧れの空から逃げ出すには、死への道しか残っていませんでした(T_T)
少佐の息子として生まれ、幼い頃から空を飛ぶ飛行機にあこがれていたリヒトホーフェンが
“レッド・バロン”と呼ばれて永遠の英雄になるまでを描いた作品です。
彼は迷うことなく空軍に入隊すると、仲間と共に戦闘機に乗ります。
彼にとって敵との交戦とはスポーツであり、紳士の競技でもありました。
でも、戦争という状況では、そんな悠長なことは言っていられません。
心を許し合った仲間たちを次々と失っていきます。
そんな中、彼は出会ってからずっと気になっていた看護婦ケイトと再会します。
空での戦闘をスポーツと考えている彼に、彼女は死と隣り合わせの現実を見せ付けます。
貴族であり優遇されている彼とは全く別の人生を歩む兵士たち。
彼らは重傷を負っても手厚い治療を受けられるでもなく、無言でベッドに横たわるしかないのです。
そして、戦闘が激化して敗戦の色が濃くなってきた時、幸運を呼ぶ英雄として祭られることに
絶望を感じ始めてしまいました。
それにしても、英雄にさせられてしまった彼の人生は切なかったです。
ただ、ゲームのように戦闘をしていた時、彼は空に騎士道精神を求めていました。
でも、死と隣り合わせの戦争の実態を実感した時、彼は自分の死を求めてしまいます。
そして、死を覚悟して空へと旅立った彼の微笑みはあまりにも哀しいものでした。
観終わった時、この主人公は日本の戦争映画の兵士たちと同じ瞳だったなと感じました。
死を覚悟した静かなこの瞳は忘れられませんと思った1本です。
監督:ニコライ・ミューラーショーン 出演:マティアス・シュヴァイクホーファー レナ・ヘディ ティル・シュヴァイガー フォルカー・ブルッヒ ジョセフ・ファインズ
2008年 ドイツ 原題:DER ROTE BARON/THE RED BARON
(20110525)
→公式サイトはこちらへ http://www.redbaron.jp/