1943年。KGBのドミートリ・アーセンティエフ(オレグ・メンシコフ)大佐は
スターリン(マクシム・スハノフ)に呼び出されていた。
以前に逮捕されて裁判に掛けられ、処刑されたはずのコトフ元陸軍大佐(ニキータ・ミハルコフ)が
生きているのではないかという疑いが出てきたのだ。
二人の深い関係を知っていたスターリンは、ドミートリにコトフ捜索の命令を下す。
早速、ドミートリは事情を知る者を訪ねていくが、そこで語られたのは
逮捕後の収容所から始まるコトフの過酷な体験だった…
目を覆うような戦争のシーンに圧倒されてしまいました(T_T)
ニキータ・ミハルコフ監督・主演で製作された戦争ドラマの続編です。
続編と言っても、前作は16年前です。
今作の中でも、夏の水遊びのシーンが回想として何度か出てくる以外は、
コトフとドミートリの間に深い確執があったという事実が語られるくらいなので、未見でも大丈夫でした。
それよりも16年前の作品と主演の3人が同じ役者であるというところがすごいなと感じました。
主演はニキータ・ミハルコフの演じるコトフ元大佐と監督の実の娘でもあるナージャ・ミハルコフで、
二人がそれぞれ離れた場所から互いを深く想う気持ちがメインのストーリーです。
父娘は英雄であったコトフ元大佐がスターリンの粛清で逮捕されてから会っていません。
コトフは処刑されたことになっているのですけど、ナージャは現在の父親であるドミートリの表情から
コトフが生きてどこかにいることを知ります。
ナージャが戦争に巻き込まれていく中で、再び父と会うという願いは彼女の唯一の希望となって行きます。
彼らはそれぞれに凄まじい体験をしながら、見ている者に戦争を体験させる案内役のような立場にいます。
父のコトフは戦うために戦場へと向かっていきます。
政治犯罪者たちの虐殺とその後に起きた敵からの爆撃。
戦争地帯から逃げ惑う市民たちを巻き込んでしまった橋の爆破。
戦場の最前線で繰り広げられる悲惨な戦い。
もう、生き残れるのが奇跡ということばかりです。
また、娘のナージャもドイツ兵の赤十字船への爆撃や無実の村人たちへの虐殺などを体験し、
心に深い傷を負いながらも、看護師として戦場で活躍するようになります。
そんな二人の体験は 何の説明も要らないほど圧倒的でした。
それにしても、大変な物語です。
前作の粛清に引き続き、今回は第二次世界大戦です。
この時代に生きることの大変さを改めて思い知らされました。
吹雪で一瞬にして地面が白くなってしまうような激寒の地の遺体の山には胸が詰まりました。
しかも3部作構成なので、ここで終わってしまうのかと思うような展開になります。
離れ離れになった父娘の未来はどうなるのだろうと気になってしまいました。
観終わった時、次作を早く見たいなと思うのと同時に、
ロシアの歴史を改めて考えさせられた1本です。
監督:ニキータ・ミハルコフ 出演:ニキータ・ミハルコフ ナージャ・ミハルコフ オレグ・メンシコフ
2010年 ロシア 原題:UTOMLYONNYE SOLNTSEM 2/BURNT BY THE SUN 2: EXODUS
(20110527)
→公式サイトはこちらへ http://www.senka-nadja.com/