10年前に妻を亡くし、子供二人を育ててきた宮田淳一(光石研)。
一浪の長男・俊也(森岡龍)と高3の長女・桃子(吉永淳)は
二人ともこの春からの大学入学を目指して受験に臨んでいた。
中卒で配送業者で働く宮田にとって、子供たちの学費は大きな悩みの種だ。
だが、弱音を吐かないことをモットーとする宮田には、子供たちの前では金の心配などするなと
強気に大見得を切っていた。
そんなある日、宮田は胃痛で食べ物がのどを通らなくなってしまう。
心配になって医者で胃カメラの検査を受けるが、ポリープが見つかってしまう。
良性か悪性かの判断は1週間後の検査結果が出てから出ないと分からない。
だが、宮田は胃がんで妻をなくした経験から、自分のポリープも悪性だと考えてしまう。
そして、もし自分がこんなに早く逝ってしまったら、子供たちはどうなるのだろうかと
心配を始めてしまった…
こんな幼馴染がいたら、人生は幸せだろうなとちょっと思ってしまいました(^^ゞ
妻を早くに亡くし、子供たちも東京での一人暮らしを考えていて、
ストレスや淋しさにさらされている男の物語です。
出だしから、鞭打たれながら疾走する競走馬を自分にたとえながら、会社まで自転車を走らせています。
しかも、社内では無愛想で、仲間に話しかけられても睨むように顔をしかめるだけです。
そんな日々を過ごしていた、ある日、彼は胃に違和感を覚えます。
そして、先々の心配を始めてしまいます。
この主人公・宮田はかなり怒りっぽい人です。
ちょっとしたことでも、すぐに大声で怒鳴り返します。
中学からの幼馴染で無二の親友・真田(田口トモロヲ)に対しては、特にめちゃくちゃ怒りっぽいです。
ちょっと気弱な真田はすぐに謝るのですけど、観ていてちょっと気の毒に思えてしまいます。
でも次第に、この二人はこんなふうでも仲が良いのだなと分かってきます。
そして、深い信頼で結ばれた二人の男の友情は、頑なな宮田と子供たちの関係にも
少しずつ変化を与えていきました。
それにしても、光石研さんと田口トモロヲさんの会話は面白かったです。
居酒屋のシーンが多いのですけど、酔っ払って叫ぶシーンには吹き出してしまいました。
すぐに怒る宮田なのですけど、心のそこではいろいろなコンプレックスを持っていて
それを吹き飛ばそうと虚勢を張るからこその態度なのだなと分かってきます。
そんな賢明に頑張ろうとする姿には、なるほど“ダンディ”かもと思えてしまいました。
そして、それを理解しながら受け止める真田の心の大きさもカッコ良かったです(^^)
監督が光石研さんを輝かせたいと頑張ったと言うのも納得の作品でした。
観終った時、50代の人が観たら、どんなふうに感じるのかなと考えた1本です。
監督:石井裕也 出演:光石研 田口トモロヲ 森岡龍 吉永淳 西田尚美
2011年 日本
(20110607)
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公式サイトはこちらへ http://www.bitters.co.jp/azemichi/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月18日以降の予定です。