辻内智貴著の同名小説を原作に、伊勢谷友介監督が創り上げた人間ドラマです。
西島秀俊さんと森山未來さんが伊勢谷監督とどんな世界を創り上げているのか気になっていました。
救いを求める人の心に呼応するように行動していく主人公の姿に、心を揺さぶられるような作品でした。
自分だったら、どんな行動を取れるのだろうかと考えてしまいました。
1990年のひと夏を山間にある小さなドライブインで過ごした青年の物語です。
大学4年生の“僕”(森山未來)は早々に内定を取って、学生最後の夏休みに自転車での旅に出ます。
何か目的があってというよりは、ちょっと散歩というような気軽な旅でした。
そんな旅の途中で、僕は酒屋の軽トラックとぶつかり自転車を壊してしまいます。
自転車のブレーキが壊れて対向車のトラックに突っ込んでしまったのです。
幸いに擦り傷程度だったので、運転していた青年(新井浩文)に睨みつけられながらも
彼のトラックに乗せられると、まだ開店していないドライブインに連れてこられました。
僕は店のオーナーの翔子さん(裕木奈江)から手当てを受けると、何となくそこに居つきます。
店に住み込みで働くセイジ(西島秀俊)の手伝いです。
僕はセイジの持つ独特な静かな雰囲気と行動が気になり始めます。
そして僕がセイジに近付こうとした時、セイジが親しくしていた一家に悲劇が起きてしまいました(T_T)
それにしても、静かな山間の集落で過ごすひと夏は、ただものではありませんでした。
救済というよりもサクリファイスという言葉を思い浮かべてしまうような衝撃です。
主人公“僕”と一緒にセイジを見つめながら、セイジの微笑って不思議な印象があるなと
思っていたくらいだったので、その瞬間、セイジは一体何をしているのかと呆然としてしまいました。
でも、セイジの微笑と共に、彼のとった行動は心の中にすんなりと受け入れられていました。
観終った時、ちょっとほっと出来て良かったなと感じました。
役者さんたちの演技の素晴らしさと共に、ずっとこのインパクトは心の片隅に残るだろうなと思った1本です。
監督:伊勢谷友介 出演:西島秀俊 森山未來 裕木奈江 新井浩文 渋川清彦 滝藤賢一 二階堂智 津川雅彦
2011年 日本
(20120218)
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