一人の少年の存在が、人々の心を一つにしていきました。
フランスのノルマンディー地方にある港町ル・アーヴルで靴みがきをしている
老人マルセル(アンドレ・ウィルム)と一人の少年の出会いを描いた作品です。
マルセルは街角で客を探して生計を立てている靴みがきです。
稼ぎはそれほど多くないのですけど、妻のアルレッティ(カティ・オウティネン)と仲睦ましく暮らしていました。
ある日、アルレッティが体調を悪くして入院してしまいます。
検査の結果、手の施しようの無い状態だと知った彼女は、医師に夫へは病状を告げないようお願いします。
そしてアルレッティは、心配をしている夫に入院はするけど良くなる病気だからと笑顔で告げました。
数日後、マルセルが仕事の休憩に川辺へ行ったところ、川の中に隠れている黒人の少年を見かけます。
少年は数日前にコンテナで密航してきた集団の一人で、行く当ても無く街中を彷徨っていました。
マルセルは少年に声をかけて助けようとしますが、辺りには警察官が見回りをしていたため
少年は再び隠れてしまいます。
警察官がいなくなった頃、マルセルはこっそりと戻ると食べ物とお金を先ほどの場所に置きます。
でも、間も無く少年はマルセルの前へ現れると、お金を返そうとしました。
そんな少年の純粋さを理解したマルセルは、少年の母親が待っているイギリスへ何とか少年を送れないかと
計画を立て始めました。
それにしても、ちょっと不思議な展開の物語でした。
登場するのはみんな余裕の無い生活を送っているような人たちばかりです。
でも、みんなは少年を助けるためなら一肌脱ごうと協力してくれるのです。
マルセルをはじめとするみんなが、何故そこまで熱心に少年を助けるのか判らない気もしたのですけど、
その熱意はスクリーンから伝わって来ました。
そして、そんな無償の行為が呼んだように、思いもかけない展開になっていきました(^^ゞ
観終った時、何だか現代のおとぎ話を観たような気になりました。
こんなお話もたまにはいいなあとちょっと思った1本です。
監督:アキ・カウリスマキ 出演:アンドレ・ウィルム カティ・オウティネン ジャン=ピエール・ダルッサン ブロンダン・ミゲル エリナ・サロ イヴリーヌ・ディディ クォック=デュン・グエン
2011年 フィンランド/フランス/ドイツ 原題:LE HAVRE
(20120518)
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公式サイトはこちらへ http://www.lehavre-film.com/