西川美和監督が松たか子と阿部サダヲの二人を主演に迎えて描くドラマです。
いつも人間のダークな部分を丹念に映し出す作品を作り上げている監督さんなので
今回はこの二人でどんな物語になるのだろうかと楽しみにしていました。
やっぱりダークな展開と背筋がぞわっとするようなラストに引き込まれました。
松たか子さんの目力が印象的でした~
小料理屋の開店を目指す夫婦の物語です。
とは言っても、彼らの資金源は結婚詐欺で得たお金です。
もともと二人は店を開いていたのですけど、火事で全てを失ってしまいました。
10年間をかけて築き上げたものが、一瞬で無くなってしまったのです。
その絶望から未来を目指す手段にしたのが結婚詐欺でした。
結婚詐欺を思いついたのは、夫・貫也(阿部サダヲ)の浮気からです。
火事で職を失った後、妻・里子(松たか子)は近所のラーメン屋で働き始めます。
一方の貫也は料理人としてのプライドと経験がたたって職に就けません。
その屈折した心から、つい、前の店の常連客だった女性と一晩過ごしてしまうのです。
もちろん、互いに大人なのでそれだけで終わる話だったのですけど、
里子は妻の鋭い感で、夫の嘘をすぐに見抜いてしまいます。
そして、その女性が店の資金にしてくれと大金を渡してくれたことから、
里子は結婚詐欺という手段を考え付きました。
それにしても、里子も貫也もそれほど悪くないと思える人だけに、
何の罪悪感も無い顔で詐欺を重ねていく二人の明るさが怖く感じました。
特に貫也はまるで女性たちに癒しをほどこすボランティアのように、彼女らに受け入れられていきます。
彼の明るさと優しさがそのまま女性たちの心にストンとはまっていくのですけど、
彼の笑顔が本当にいい人そうだけに、これは騙されるなあと思いました。
また、女心のウィークポイントを巧みに見つけてしまう里子の鋭さや、
対象の女性と会っている貫也を見つめる里子の視線は、
彼女の暗い心を見せ付けられたようで怖かったです^_^;
そして、二人の心が少しずつすれ違っていった先の結末を観た時、
何とも言えない気持ちになりました。
ラストの里子の表情がとても強烈でした。
人の心は読めないものだなと改めて感じた1本です。
監督:西川美和 出演:松たか子 阿部サダヲ 田中麗奈 鈴木砂羽 江原由夏 木村多江 笑福亭鶴瓶
2012年 日本
(20120830)
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