料理家・辰巳芳子さんの日常をメインに追ったドキュメンタリーです。
"いのちのスープ"と呼ばれるようになったスープを創った人と聞いていたので気になっていました。
じっくりと料理に打ち込む姿を観ながら、命のことまでも考えさせられるような作品でした。
食べることは生きることなのだなと改めてしみじみと感じました。
鎌倉に居を構えて、素朴で美味しい料理を作り出している辰巳芳子さんのドキュメンタリーです。
まずは広い庭を散策て四季を感じながら、自然の恵みを見つけるところから始まります。
庭と言っても広大で、草木がのびのびと生えています。
そんな自然の中で旬な食材を見つけては、辰巳さんは嬉しそうに摘んで行きます。
そして、美味しい料理を作っていきます。
料理の中でも彼女はスープを得意としているようです。
飲む人の心を震わせるような、しっかりとした美味しさを感じるようなスープです。
元々は病の床に臥せっていた父のために作り始めたスープらしいです。
スープだけでも栄養が取れるように、うまみを含めた栄養をしっかりと溶け込ませています。
そんな意志を引き継いだボランティアによる、スープを入院患者へという活動の様子が映し出されていて、
スープを飲んだ患者さんたちの驚きと喜びの笑顔はとても印象に残りました。
それにしても、観ているだけで心が静かに落ち着くような作品でした。
時間をかけて美しく色付いた梅干し。素朴な色合いのおせち料理。そして、じっくりと丁寧に作り込むスープ。
どれもが、食べたら美味しいだろうなあと思えてきます。
また、結婚して間も無く戦争で亡くした夫の話にも心を打たれました。
戦地へ赴くことが決まっていた夫との結婚を反対されつつも、結婚に踏み切ったこと。
その自分の人生の選択が正しかったのかという答えのない疑問に、長い時間をかけて答えを出した
彼女の真っ直ぐな気持ちに色々教わった気がしました。
パンフレットにスープのレシピが載っていました。
今は作れそうにないですけど、いつかはこのスープを得意料理にしたいなと思った1本です。
監督:河邑厚徳 出演:辰巳芳子
2012年 日本
(20121110)
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公式サイトはこちらへ http://tennoshizuku.com/