人の優しさが嬉しくなるような物語でした。
瀬戸内の小さな島から来た両親と子供たちが織り成す物語です。
年老いた夫婦、周吉(橋爪功)ととみこ(吉行和子)は子供たちに会いに東京まで出て来ました。
東京には3人の子供たちがそれぞれの家族と共に住んでいます。
夫婦は何とか新幹線で品川駅まで来たのは良かったのですけど、
迎えに来たはずの次男・昌次(妻夫木聡)と会えません。
うっかりした昌次が東京駅へ行ってしまったのです。
待ちくたびれた周吉は、タクシーで東京都下にある長男・幸一(西村雅彦)の家へ向かってしまいました。
個人医院を開業している幸一は忙しい毎日を送っています。
せっかく東京に出て来た両親を東京見物に連れて行くことも出来ません。
また、長女の滋子(中嶋朋子)も小さな商店街で美容院を開いていて、幸一と同様に時間を作れません。
両親がどこにも行かずに小さな部屋に篭っているのは可哀想だろうと思った彼女は
横浜にある高級ホテルで数日間のんびりしてもらおうと計画しました。
実は滋子には、両親が自分の家に居て欲しくない理由がありました。
でも、滋子が予約してくれた高級ホテルは、田舎から出て来た両親にとっては
とてものんびりと落ち着くことなどできない場所でした。
気疲れをして1泊で切り上げてきた両親に、滋子は今晩は家に泊められないと言います。
仕方なく、周吉は昔なじみの友人を訪ね、とみこは昌次のアパートへと向かうことになりました。
それにしても、家族というものを考えさせられて、とても切なくなる物語でした。
子供たちは、大切な両親がそばにいるのに、一緒に過ごせる時間もないのです。
“東京の人間は忙し過ぎる”という台詞があるのですけど、もっともだなあと思いながら聞いていました。
そして、“忙”という字は心を亡くすのだったなとしみじみ思ってしまいました。
役者さんも揃っていて、観ていて本当の家族のように感じました。
特に女優陣が素敵です。
吉行和子さんの演じる、優しくて愛情深いお母さん。
夏川結衣さんの演じる、幸一の妻&二人の子どもの母として落ち着いた存在感のある文子。
中嶋朋子さんの演じる、ちょっと勝気でちゃっかり者の長女。
そして、蒼井優さんの演じる、笑顔が穏やかでしっかり者でもある昌次の恋人・紀子。
それぞれに共感や親しみを覚えながら、つい笑ったり泣かされたりしてしまいました(^^ゞ
観終った時、劇場を改めて見たら、かなり年齢層が高かったです。
若い人にも観て欲しいなと思うのと同時に、今日観た皆様はどんなことを思うのだろうなあと、
ちょっと気になってしまった1本です。
監督:山田洋次 出演:橋爪功 吉行和子 西村雅彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優
2012年 日本
(20130126)
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公式サイトはこちらへ http://www.tokyo-kazoku.jp/