嘘つきと責められたら、やっぱり違うと答えてしまうよねと思いつつも、
一体、何故こんなことになってしまうのかと考えてしまいました(T_T)
冬も近くなった、小さな田舎町の秋の風景から始まる物語です。
学校が廃校になって教師の職を失ったルーカス(マッツ・ミケルセン)は、
最近、ようやく幼稚園で保父の仕事に就きました。
まだ、幼い子供たちには慣れていないところもありますけど、
子供たちは力のある男の遊び相手が出来たと懐き、
毎朝、彼が出勤するのを待ち構えているようになっていました。
ルーカスの親友テオ(トマス・ボー・ラーセン)の幼い娘クララ(アニカ・ヴィタコプ)も彼が大好きです。
ある日、おもちゃでハートを作って彼にラブレターのように贈りました。
でも、ルーカスはそのハートを彼女と同級の男の子にあげなさいと返してしまいます。
それがクララの気持ちをちょっとだけひねくれさせてしまいました。
そして、その小さな出来事が翌日からの彼の人生を大きく狂わしていきました。
それにしても、ものすごく怖さを感じる物語でした。
幼稚園児が話した、ちょっとした作り話。
女の子が好きな人に気持ちを受け入れてもらえず、拗ねてつい言ってしまったような言葉です。
でも、それは断片的なもので、受け取り用によっては誰もが忌み嫌う犯罪のような言葉でした。
そして、それを聞いた良識ある大人たちは“子供はそのような嘘をつかない”という信念のもと
ルーカスを犯罪者と断定してしまいます。
彼は身に覚えの無い犯罪の汚名を着せられ、村八分状態に陥っていきます。
食料を買うのにも事欠くほどで、ほとんど命の危機です。
少女の言葉は簡単に信じるのに、誰もルーカスの言葉には耳を貸そうとしません。
悪意とも言えないようなちょっとした言葉と、自分たちが正しいと信じているからこそ歪んだ良識。
その二つが合わさった時に人が簡単に追い詰められてしまうことが不気味でした。
何とも言えない悪意を感じさせるラストシーンにぞっとさせられました。
観終った時、このざわめきはしばらく心から離れないだろうなあと感じた1本です。
監督:トマス・ヴィンターベア 出演:マッツ・ミケルセン トマス・ボー・ラーセン アニカ・ヴィタコプ ラセ・フォーゲルストラム スーセ・ウォルド ラース・ランゼ
2012年 デンマーク 原題:JAGTEN/THE HUNT
(20130319)
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