乾緑郎著の小説「完全なる首長竜の日」を黒沢清監督が映画化したSFファンタジーです。
キャラクターの設定を原作とは変えて佐藤健&綾瀬はるか主演で綴られる物語は
どんな展開になるのか楽しみにしていました。
黒沢清監督の独特な演出と共に、とても純粋なラブストーリーが描かれていました。
SFファンタジーのラブストーリーのはずなのに、何故かホラーっぽくて不気味でした^_^;
センシングという技術でこん睡状態の人間と夢を介して
意思の疎通が出来るようになった近未来の物語です。
藤田浩市(佐藤健)は先端医療センターでセンシングの実験を行なうことになりました。
1年前に自殺未遂をしてこん睡状態に陥っている恋人・和淳美(綾瀬はるか)の意識に
コンタクトをとろうとしたのです。
相原医師(中谷美紀)に導かれてセンシング状態になった浩市は、
淳美と二人で住んでいたマンションへと向かいました。
迷路みたいな廊下や階段を走りぬけて玄関へとたどり着いた彼が部屋に入ると、
そこには淳美が1年前と同じように懸命に漫画の原稿を描いていました。
淳美に会えた嬉しさを押さえるように静かに話す浩市に、彼女は背を向けたまま、
今は手が離せないと言います。
そして、1年前になぜ自殺を図ったのかという浩市の質問に、覚えていないと表情を硬くして答えると
夢は暗転してしまいました。
それにしても、不思議な感覚に陥る物語ですね。
まるで、覚めない夢を繰り返し見ているようです。
しかも、夢は次第にほころび始めて、悪夢へと変わって行きます。
その感覚が妙に怖かったです。
また、佐藤健さんと綾瀬はるかさんが良かったです~
佐藤健さんの非現実的で儚げな雰囲気のある存在感と
綾瀬はるかさんのパワーを感じる強い存在感が対照的で面白かったです。
そんな二人を支える医師を演じた中谷美紀さんの落ち着いた雰囲気も素敵でした。
そして、そんなキャストを不思議な世界へ導く物語の展開に引き込まれていきました。
映画を観ながら、どこまでが夢なのか不安になってしまいました。
観終った時、この結末は好きだなあとちょっと思った1本です。
監督:黒沢清 出演:佐藤健 綾瀬はるか 中谷美紀 オダギリジョー 染谷将太 堀部圭亮 松重豊 小泉今日子
2013年 日本
(20130603)
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