それでもその子を大切に思えるのが母なのだろうなと感じました。
1本の電話から始まる物語です。
ローマで優しい夫と暮らすジェンマ(ペネロペ・クルス)のもとに、ボスニアに住む旧友の
ゴイコ(アドナン・ハスコヴィッチ)から夏のバカンスに遊びに来ないかという電話が来ました。
ボスニアは若い頃に留学して青春を過ごした土地であり、
息子ピエトロ(ピエトロ・カステリット)が産まれて以来の場所です。
内戦の混乱期を知る旧友の声に、ジェンマは息子を連れて彼の生まれ故郷へ向かうことにしました。
実はピエトロの父は今の夫ではありません。
ボスニアの内戦の中で当時の夫であるアメリカ人写真家のディエゴ(エミール・ハーシュ)と
地元の女性アスカ(サーデット・アクソイ)の間に生まれた子供です。
ジェンマとディエゴは深く愛し合っていて子供を欲しがったのですけど、彼女は子供が出来ない身体でした。
2度の流産を経て代理母での出産を望み、希望者のアスカとディエゴを引き合わせたのです。
代理母で子供を作るという選択はジャンマの希望だったのですけど、
でも、それはジェンマ自身の心を深く傷つけてしまいました。
猜疑心と嫉妬心に壊れたジェンマはディエゴとの愛をも壊してしまいます。
その果てに誕生した赤ちゃんを連れて、ジェンマは戦争で破壊された町から必死に
故郷のローマへと帰ってきます。
そして、その時に出会って幼子を抱えた彼女に優しく接してくれたのが今の夫でした。
それにしても、隠されていた真実は凄かったです(T_T)
今回の旅が何のために企画されたのかがラスト近くで判明します。
その真実に、ジェンマの猜疑心と嫉妬心なんてすぐに吹き飛んでしまいました。
そして、真実を知ったジェンマと共に私もアスカを抱きしめてあげたくなりました。
サラエボの戦争はこれだ、この夏に観たアンジェリーナ・ジョリー監督作『
最愛の大地』を思い出すと同時に
どうして戦争はこんなむごいことが出来るのだろうなあとため息が出ました。
観終った時、この物語もきっと忘れることは無いだろうなあと感じた1本です。
監督:セルジオ・カステリット 出演:ペネロペ・クルス エミール・ハーシュ アドナン・ハスコヴィッチ サーデット・アクソイ ピエトロ・カステリット
2012年 イタリア/スペイン 原題:VENUTO AL MONDO/TWICE BORN
(20131124)
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