山本兼一著の直木賞受賞作を市川海老蔵主演で映画化した時代劇です。
原作は未読ですけど、海外で受賞したと聞いていたので、どんな物語なのか気になっていました。
利休という人の人生を辿ると同時に、時代を動かした人々の心が伝わってくるような物語でした。
美しさと忘れられない恋に囚われている人の物語でした。
切腹の朝から始まる物語です。
嵐の中、縁側で利休(市川海老蔵)が静かに座っていました。
そんな彼の傍に妻の宗恩(中谷美紀)が近付いて一緒に座ります。
彼女は彼に静かに語りかけます。
あなたの心の中には、ずっと想う人がいたのでは…と。
時代は利休が織田信長(伊勢谷友介)と初めて出会った20年前に遡ります。
芸術品を好む信長は、名品を買い集めていました。
売り手たちが集まる当日、目利きとして名を上げてきた宗易(のちの利休)も参加します。
終了間際に後れて入って来た宗易は、見た目はぱっとしない黒塗りの箱を持ってきました。
その箱を、意表を付く方法で見せると、信長はとても気に入ります。
宗易は信長と深く関わるようになっていきます。
そして、本能寺の変の後は、そのまま豊臣秀吉(大森南朋)に仕えるようになっていきました。
それにしても、和の美しさにこだわった作品でした~
撮影場所から小道具まで、一流の美しさに彩られていました。
その中で演じている俳優さんたちの演技も美しくて、観ているだけでも心が清らかになる気がします。
中でも、特に茶道の所作の美しさには惹かれました。
そんな中で、利休がどんな人物だったかが描かれていきます。
若い頃から順に名を上げていく様子が描かれているのですけど、
彼が何故、彼独特の美を見つけていったのかは謎のままです。
ただ、彼の唱える美しさは、ある人の心は動かし、趣味の違う人には受け入れられません。
その受け入れられない一番の人は豊臣秀吉でした。
利休の心の根底に一つの恋があるという展開が興味深かったです。
その切なさと想いの強さには心が動かされました。
屈服できない人間を殺してしまおうとする秀吉の怖さにはぞっとさせられました。
そして、そんな夫を支え続けた妻・宗恩(中谷美紀)の心の強さには考えさせられました。
観終った時、心がとても静かになりました。
こういう作品が海外で評価されたのってすごいいなあと感じた1本です。
監督:田中光敏 出演:市川海老蔵 大森南朋 中谷美紀 伊勢谷友介 成海璃子 福士誠治 クララ 市川團十郎 中村嘉葎雄
2013年 日本
(20131214)
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