歴代の大統領を演じた役者さんたちの雰囲気が絶妙に似ていました(^^ゞ
一人の老人が廊下で待ちながら遠い記憶を思い返しているところから始まる物語です。
セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)の運命は少年時代に大きく変わりました。
綿をつくる農場で働く小作農の子として生まれた彼は、両親の愛情を受けながら育ちました。
そして、自分も将来はこの農場で働くのだろうと漠然と思っていました。
でも、母が農場主に傷付けられ、それを抗議しようとした父が射殺されてしまった時、
セシルは農場主の屋敷で下働きの仕事を与えられるようになります。
給仕などをしっかりと叩き込まれながら若者になったセシルは、このまま農場に居たら
いつかは農場主に殺されると悟ります。
独り立ちすることを決意した彼は、父が殺された時に精神が壊れてしまった母に別れを告げると家を出て
街で苦労を重ねながら、やがてホテルのウェイターとして働くようになります。
そこでの働きが目に留まり、運命のようにホワイトハウスの執事に就くことになりました。
それにしても、本当に激動の時代でした。
セシルが体験した子供の頃のエピソードがとてもショックで哀しいです(T_T)
簡単に奪われる幸せな生活と命。
生きることの根源を支配されていた時代に、その支配下の中で生きることの難しさを実感しました。
やがて、大人になったセシルは大統領の執事という仕事に誇りを持って暮らしていました。
その中で成長した長男は権利を求めて運動へと向かい、次男はベトナム戦争へ身を投じます。
どちらも大統領の執事として働く父を見て育ってきていて、これほど選ぶ道が違うのです。
でも、セシルは息子たちの心配をしながらも、その流れを止めることは出来ません。
大きな時代の流れはひとつの家族など簡単に飲み込んでしまいました(-_-)
セシルは自分の子供時代を知っているだけに、
今の自分がどれだけ恵まれた環境なのかを理解しています。
でも、その父の環境や変化後の時代を当たり前として生まれてきた長男にとって、
父の立場は白人に仕えている黒人にしか見えません。
父を軽蔑する息子と、息子が理解できない父の間には大きな溝が出来てしまいます。
家を出で運動に身を投じる長男とキング牧師との会話で、
キング牧師がセシルの仕事を立派な仕事だと言った言葉が印象に残りました。
そして、いつか長男も父を理解する日が来るのだなと感じました。
この映画の物語がつい最近のことまで続いていることにちょっと驚きました。
観終った時、今のアメリカの現状がどれほどの変化の結果だったのか、改めて思いを巡らせた1本です。
監督:リー・ダニエルズ 出演:フォレスト・ウィテカー オプラ・ウィンフリー ロビン・ウィリアムズ ジェームズ・マースデン リーヴ・シュレイバー ジョン・キューザック アラン・リックマン キューバ・グッディング・Jr テレンス・ハワード ヴァネッサ・レッドグレーヴ レニー・クラヴィッツ デヴィッド・オイェロウォ
2013年 アメリカ 原題:LEE DANIELS' THE BUTLER
(20140328)
→
公式サイトはこちらへ http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/