この事実が現代に甦ったのはどんな意味があるのだろうと考えてしまいました。
1841年のアメリカには奴隷制度がありました。
その中で自由証明書を持っていたソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は
バイオリン奏者として高い評価を受け、白人社会で彼らと同じような豊かな生活を送っていました。
でも、妻と子供たちに囲まれて幸せな日々を送っていたソロモンに悲劇が起きます。
知り合いに騙されて誘拐され、奴隷業者へ売られてしまうのです。
理不尽に奴隷にされ、抵抗すれば簡単に殺されてしまうような状況に陥った彼は逃れることが出来ずに
名前も強制的に変えられて農園に売られていきました(T_T)
それにしても、12年間は過酷です…
しかも、本当に家畜のような扱いを受けながら生きていかなくてはならないのです。
物語の後の言葉を読むと、彼の生還が本当に奇跡的であったことが分かります。
奴隷制度の中で、どれほど多くの黒人が命を落としていったのかと思うと胸が痛くなりました。
中でも、農場主のエドウィン・エップス(マイケル・ファスベンダー)に気に入られて
夜も休日である日曜日にも執拗な束縛をされるパッツィー(ルピタ・ニョンゴ)の過酷さには声もありません。
敬虔なクリスチャンでもある彼女が自殺を願ってしまうのも納得です。
でも、彼女がこの物語の後にどんな人生を送ったのかは不明です。
本が出版された当時、彼女の消息の調査があったのですけど分からなかったそうです。
せめて、奴隷制度が無くなってからは平穏な日々を送ることが出来たらいいなあと願ってしまいました。
そして、彼女の役を演じたルピタ・ニョンゴがアカデミー賞助演女優賞を受賞したことを知ったら
どれほど喜ぶだろうかと考えました。
舞台挨拶で司会の人から、黒人監督作初の作品賞受賞になってどう思うかと尋ねられた監督さんが、
受賞は名誉であるけど、人種に関係なくそういう機会があったから貰えたと答えたのが印象的でした。
黒人監督作であることを特別視しないその考えこそが平等なのだなと改めて感じました。
観終った時、この作品を観ることが出来て良かったと思った1本です。
監督:スティーヴ・マックィーン 出演:キウェテル・イジョフォー マイケル・ファスベンダー ルピタ・ニョンゴ ベネディクト・カンバーバッチ ポール・ダノ ポール・ジアマッティ サラ・ポールソン アルフレ・ウッダード ブラッド・ピット
2013年 アメリカ 原題:12 YEARS A SLAVE
(20140423)
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