言葉の代わりに様々な音が二人の心を伝えてくれました。
組織で働く殺し屋の朝から始まる物語です。
殺風景な部屋で静かに横たわっていたサルヴォ(サーレフ・バクリ)は目覚ましと共に起き出しました。
早速、ボスと行動を共にしていると、後続車から怪しい雰囲気を感じます。
横道で待ち伏せしていると、予想通り襲撃が起きました。
冷静に対処したサルヴォは第二の襲撃も撃退すると、逃げ出した敵を追い始めます。
ボスの言葉を無視して追い続けたサルヴォは隠れていた男を捕らえると、
彼に指示した者を白状させてそのまま殺しました。
そして、その足で聞き出した名前の家へ向かい、密かに忍び込みます。
でも、そこには目的の男は居らず、その代わりに居たのは目の見えない妹リタ(サラ・セッラヨッコ)でした。
それにしても、シチリアを舞台にしているだけあってハードボイルドですね。
主人公サルヴォは無表情&最低限の言葉も発さないような男で、
その存在感だけで何人も殺してきている殺し屋だと感じさせるものがあります。
そんな男が目の見えない少女リタと出会って変化していきます。
サルヴォは普通なら簡単に殺せる状況なのに、どうしてもリタを殺すことが出来ません。
その場からさらうと、誰も来ない倉庫へと閉じ込めます。
部屋へ帰宅したサルヴォは、間も無く食料を持って彼女の元へ通うようになります。
打ち解けずに兄を殺された怒りをぶつけてくる少女を、彼はただ静かに見つめます。
やがて、サルヴォは犬を部屋に入れるようになり、自室ではなく部屋の管理人と食事を取るようになり、
傍目から見ても様子が変わったと思われるようになります。
それは彼にとっては束の間の幸せな時間だったかも知れません。
でも、運命はそんなに簡単に彼を幸せにはさせてくれませんでした(T_T)
主人公の纏う非情さが変化してくる分、リタが心身ともに自由を取り戻していく展開が興味深かったです。
エンドロールに流れる波の音を聞きながら、やっぱりシチリアの物語だなと感じた1本です。
監督:ファビオ・グラッサドニア アントニオ・ピアッツァ 出演:サーレフ・バクリ サラ・セッラヨッコ ルイージ・ロ・カーショ ジュディッタ・ペッリエーラ マリオ・プペッラ
2013年 イタリア=フランス 原題:Salvo
(20140428)
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イタリア映画祭2014公式サイトはこちらへ http://www.asahi.com/italia/2014/works.html追伸
この映画はイタリア映画祭2014で観ました。公開予定は未定です。