現実は哀しいなあと思いながらスクリーンを見つめていました。
あるカップルが恋に落ちるところから始まる物語です。
ショーが人気のゲイバーへ入ったポール(ギャレット・ディラハント)は、一人のダンサーに惹きつけられます。
そのダンサー、ルディ(アラン・カミング)の方も客席に居たポールに気付いていました。
二人は一目で恋に落ちていたのです。
でも、1979年のアメリカではゲイのカップルはまだ否定される存在でした。
そんな二人が出会った夜のこと。
帰宅したルディはアパートの廊下に古びた着せ替え人形が落ちていることに気付きました。
すぐ近くのドアからは、廊下まで鳴り響くような重低音のロックが聴こえています。
仕方なくドアを強く叩いてそこに住むドラッグ中毒の女性に人形を渡した彼は、
その女性には子供がいたことに初めて気付きました。
一晩中ロック音楽が鳴り響いていた翌朝、ルディが部屋を訪ねると女性の姿は見当たらず、
部屋の片隅にダウン症の少年マルコ(アイザック・レイヴァ)がひとり取り残されていました。
心細そうに静かに座っている少年の姿を見て放って置けなくなったルディは、
母親が帰ってくるまでとマルコを自分の部屋へ迎え入れます。
でも間も無く、マルコの母が薬物所持で逮捕されたことが知らされ、
マルコは保護施設へと連れて行かれてしまいました。
それにしても、切ない物語でした(T_T)
ルディはどうしようもない運命を背負っているマルコを心から愛します。
また、ルディに一目惚れしたポールもマルコを引き取るために一緒に暮らし始め、
二人は刑務所入りの母に代わってマルコを育て始めます。
マルコに笑顔が戻ってきます。
ゲイのカップルは当時の常識的には奇異な存在なのですけど、
理解ある人にはマルコにとって、二人との生活が本当に幸せなのだと分かっていました。
でも、理解無い人たちによって、マルコの運命は壊されていきました(T_T)
最後まで切ないのですけど、何故かベッドサイドストーリーを聴いているような優しい余韻を感じました。
この物語が愛の物語だったからかも知れませんね。
観終った時、遠い日に覚えた童話をきっと忘れないように、
これからは“チョコレートドーナツ”と聞いたらこの物語を思い出すだろうなと思った1本です。
監督:トラヴィス・ファイン 出演:アラン・カミング ギャレット・ディラハント アイザック・レイヴァ アイザック・レイヴァ フランシス・フィッシャー グレッグ・ヘンリー クリス・マルケイ ドン・フランクリン ジェイミー・アン・オールマン
2012年 アメリカ 原題:ANY DAY NOW
(20140514)
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公式サイトはこちらへ http://bitters.co.jp/choco/