面白い人たちだなあと思いながらスクリーンを眺めていました。
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した初めてのドキュメンタリーだそうです。
ローマをぐるりと囲んでいる環状線の説明と共に映画は始まります。
ヤシの木の音を聴いて木が病気になっていないかを確認している植物学者。
城を映画のセット等にレンタルしながら、優雅な生活を気取っている没落貴族。
アパートの一室で趣味と共に静かに暮らしている高齢の父と娘。
日々、人々の命を救うために働き、家では高齢の母の面倒をみている救急隊員。
川のほとりに住みながら昔ながらのうなぎ漁業で暮らしている漁師。
社会的には奇異の目を向けられながらも自由に生きようとしている車上生活者。
そんな彼らに監督さんは丹念な取材をして、信頼関係を作り上げた上でカメラをまわし始めました。
監督さんが何年もかけただけあって、スクリーンに映る彼らの姿はとても自然です。
映画上映の後の質問タイムで、イタリア人のお客さんが言っていた言葉が面白かったです。
その人は、本国でお母さんと一緒にこの作品を観たそうですけど、
映されている人たちがあまりにも自然なので、これはドキュメンタリーではないとお母さんは思ったそうです。
普通の人々がそれほど正直な本心をスクリーンに映し出していることは興味深かったです。
ただし、この作品はそんな人々の姿を観て何を感じるかは観る側に委ねられている気がします。
それだけに、解るかと言われたら、ちゃんと解ったどうかはちょっと不安な気がしました^_^;
それでも、どんな環境でもどんな生活でも、人はみんな生きていると感じるものはありました。
そして、その感覚はきっと監督さんが感じているものの一部だろうなあと思いました。
映し出されている人々の多様さは、現在のイタリアそのものなのかなと感じました。
観終った時、いつかもう一度見直した時に何を感じるか楽しみかもとちょっと思った1本です。
監督:ジャンフランコ・ロージ
2013年 イタリア 原題:SACRO GRA
(20140427)
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公式サイトはこちらへ http://www.roma-movie.com/追伸
この映画はイタリア映画祭2014で観ました。公開は8月16日以降の予定です。