愛を積むひと

エドワード・ムーニー・Jr.著「石を積むひと」を、舞台をアメリカから日本の美瑛町に移して映画化した作品です。
美しい風景と共にどんな人々の物語が描かれるのだろうと気になっていました。
強くて優しい愛に満ちた物語に、こういう幸せっていいなと感じながら癒される時間を過ごしました。

石を積む作業はかなり大変そうでした～

東京から北海道の美瑛町に越して来て間もない篤史（佐藤浩市）と良子（樋口可南子）の夫婦は
大自然を感じながらのんびりした生活を送っていました。
この地に移り住むことにしたのは、二人の想い出の大雪山を眺められることと
心臓を悪くした良子のたっての希望でもあります。
そして、篤史は結婚してから苦労をかけてばかりだった妻の願いを聞いて移転を決意したのでした。

良子には、もう一つの願いがありました。
ある出来事から疎遠になっている娘の聡子（北川景子）と篤史を仲直りさせたかったのです。
でも、疎遠になってから5年も過ぎたのに、篤史には娘を許す気はありません。
そのことは、いくら妻が言って聞かせても、夫は聞く耳を持たずに顔をしかめ続けました。

ある日、良子は夫に石塀作りを願い出ます。
以前にこの家に住んでいた外国人が、石塀を作る計画を立てて設計図を作っていたのです。
仕事を引退して家でごろごろしていた篤史にとって、そんな大変な労働はしたくありません。
でも、若いアルバイトを雇うからと半ば強引に話を進めていきます。
そして、妻には頭の上がらない篤史もしぶしぶと石塀作りを始めることになりました。

それにしても、優しい人たちの物語ですね。
傍から見れば、この夫婦は苦労の多い人生を送っています。
北海道へ来てからも、平穏な時は長くはありません。

でも、夫に寄り添おうとする妻の暖かさと優しさが物語を包み込んでいった時、
苦労はあってもこの夫婦は幸せな人生を送ったのだなとしみじみと伝わって来ました。
そして、こんなふうに生きていけたら、きっと笑顔で人生を全うできるだろうなあと感じました。

親子の愛、夫婦の愛、恋人たちの愛と様々な愛を伝えてくれる物語も
映像も音楽もみんな美しくて優しかったです。
観終わった時、とても心が癒された気持ちになった1本です。



監督：朝原雄三　出演：佐藤浩市　樋口可南子　北川景子　野村周平　杉咲花　吉田羊　柄本明
2015年　日本
（20150513）

→公式サイトはこちらへ　http://ai-tsumu.jp/

追伸
この映画は完成披露試写会で観ました。公開は6月20日以降の予定です。