葛飾北斎とその娘・お栄の姿を描いた杉浦日向子著の「百日紅」をアニメ化した作品です。
予告編を観て、江戸の町が生き生きしているなあと気になっていました。
北斎とお栄の見る世界と生き様の潔さに、最後まで目が離せないような作品でした。
心はいつでも自由だと言わんばかりのきりっとした立ち姿がカッコ良かったです~
江戸の町の様子から始まる物語です。
江戸の長屋で暮らすお栄(杏)は絵師の父・葛飾北斎(松重豊)のもとで、絵師の補助をしています。
二人でひたすら紙に向かい、掃除もせず家事もしない家の中はめちゃくちゃです。
でも、汚さが限界に来たら引越せばいいやくらいの気楽さで暮らしていました。
お栄の絵は上手くて版元も認める腕になっていました。
口には出しませんけど、彼女自身も心の中では自分は何でも描けると自信を持って絵を描いています。
でも、父に言わせるとまだ半人前で、詰めが甘いところがあります。
絵に色気が無いと言われることもあります。
そんな時、彼女は独り江戸の町に出て行きました。
それにしても、何だかカッコいい印象の残る作品でした。
絵の道をまっしぐらに進んでいる感じです。
その真剣な表情とまなざしにかかったら、描けない訳は無いと思わせるものがありました。
また、彼女の姿と一緒に描かれる江戸の日常がとても自然で楽しかったです。
江戸ならではの美しさや雑然さ、そして不思議さがそれぞれの場面でじわりと伝わって来ます。
観ているだけでも、そんな世界を体感できたような気がしました。
生まれつき目が見えない幼い妹・お猶(清水詩音)への愛情を感じるひと時や淡い恋が終わってしまう瞬間など、
彼女の強さだけでは無いシーンにも引き込まれました。
そして、何と言っても江戸の町の様子が面白かったです。
観終わった時、今日はいつもよりも背筋を伸ばして歩いていたいなあと感じた1本です。
監督:原恵一 声の出演:杏 松重豊 濱田岳 高良健吾 美保純 清水詩音 筒井道隆
2015年 日本
(20150526)
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