“人は誰かのためになると思えば動く”という言葉がゆっくりと心に沁みてきました。
食中毒を起こして世間の批判を浴びた食品工場から炎が上がりました。事故ではなく放火事件です。
実は前日、“シンブンシ”を名乗る男からその放火を予告する映像がネットに上げられていました。
警視庁でネット犯罪を捜査している吉野絵里香(戸田恵梨香)はその映像を観て怒りを覚えます。
そして間も無く、犯人の使用した端末が特定されました。
そこは東京、埼玉、神奈川でチェーン店を展開しているネットカフェの1店でしたが、
その使用された端末の場所はお客が入っておらず、犯人にはたどり着くことができません。
でも、このネットカフェのシステムに侵入するには、専用のキーでワンタイムパスワードを
読み込ませなければならず、事実上、外部の者には不可能と考えられました。
そして、警察をあざ笑うかのように、次の犯罪予告がネットに上げられました。
それにしても、中村義洋監督らしい作品ですね。
この主人公・奥田宏明(生田斗真)の人生と優しさが切ないです(T_T)
子供の頃から恵まれない環境で育ち、就職難の末に派遣社員としてIT企業で働いていたのですけど、
今はネットカフェを転々として暮らしています。
どんなに努力しても人の悪意に全てを潰されてしまうということは
現実には簡単に起きることなのだろうと改めて感じました。
一方、彼を追いかける吉野絵里香にも、苦労した人生がありました。
そんな影を見せることなく、犯人の“シンブンシ”を憎しむように追いかける彼女に、
奥田も彼の身代わりとして捕まった店員も「あなたには理解できない」と告げます。
そして、奥田の人生に興味を持った彼女が明らかにしていく事件の裏には、
彼女の予想も付かない真実が隠されていました(T_T)
事件が終わった後の現実も、ラストに明かされる本当の真実もめちゃくちゃ切なかったです。
観終った時、こんなに優しい人がちゃんと生きられない世界なんて…としみじみと思った1本です。
監督:中村義洋 出演:生田斗真 戸田恵梨香 鈴木亮平 濱田岳 荒川良々 福山康平 宅間孝行 坂口健太郎 窪田正孝 小松菜奈 田中圭 滝藤賢一 本田博太郎 小日向文世
2015年 日本
(20150614)
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