往年の大女優、女優の個人秘書、若手ハリウッドスターそれぞれの存在感が半端なかったです。
長距離列車で移動中の女優マリア（ジュリエット・ビノシュ）のもとには、朝から様々な連絡が入ってきます。
受けるのは個人秘書ヴァレンティーヌ（クリステン・スチュワート）で、マリアの意図を汲んで仕事をこなし
マネジメントから本読みの相手まで行ってくれるマリアの相棒とも言える存在でした。
今回の移動は山間の小さな町で行われるイベントに出席するためです。
マリアが有名になるきっかけを作ってくれた恩義のある舞台監督の授賞式の代理でした。
でも、列車の中でマリアが賛辞の挨拶文を苦心している時、その監督の訃報が入ります。
哀しむ間も無く目的地に着いたマリアは、何とか舞台で挨拶をすると食事会へと向かいました。
会場でマリアはヴァレンティーヌに、会わせたい舞台監督がいると呼ばれます。
才能ある若手の舞台監督で、マリアの若い頃に演じた舞台をリライトして再演する企画を立てていました。
物語は有能な上司ヘレナがほれ込んでいた若者シグリッドに翻弄されて全てを失うというもので、
以前に演じた時のマリアは上司を翻弄するシグリッド役です。
マリア自身のイメージとも合っているキャラクターで、彼女は今もその強さと華やかさを大切にしていました。
今回は同じ物語でも年齢が上がってヘレナ役としてオファーされていました。
ヘレナのキャラクターがどうしても好きになれないマリアは依頼を断ろうとしますが、
亡き監督に縁の劇であり、周りからも彼女しかいないと押され、気が乗らないながらも引き受けます。
でも、スイスの山間の家にこもってヴァレンティーヌを相手に台詞の練習を始めたマリアは機嫌が悪くなり、
我慢してきたヴァレンティーヌも彼女への不満が募ってきてしまいました(-_-)
それにしても、3人の女優たちが凄かったです～
ジュリエット・ビノシュはもちろんさすがの存在感ですけど、マリアの個人秘書を演じた
クリステン・スチュワートもとても良かったです。
この作品で彼女がセザール賞の最優秀助演女優賞を受賞したのも納得でした。
マリアとヴァレンティーヌは仕事の上司と部下としても、年齢の違う女性としても、対比的に描かれています。
そんな二人の緊張感ある掛け合いは、現実と演技の境が無くなっていくような感覚に陥りました。
また、舞台でマリアを翻弄する役として対峙する若手女優役のクロエ・グレース・モレッツも
その華やかさとわがままな無邪気さが似合っていて、マリアを翻弄する役がぴったりでした。
この映画は監督さんとジュリエット・ビノシュの長年の付き合いから生まれた作品だそうです。
観終った時、ジュリエット・ビノシュは監督さんに愛されるだけはあるなあと思うのと共に、
スイスの山間に流れる雲のシーンが強烈に心に残った1本です。
監督：オリヴィエ・アサイヤス 出演：ジュリエット・ビノシュ クリステン・スチュワート クロエ・グレース・モレッツ
2014年 フランス/スイス/ドイツ/アメリカ/ベルギー 原題：Sils Maria
（20150528）
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フランス映画祭の公式サイトはこちらへ http://unifrance.jp/festival/2015/films/film07追伸
この映画はフランス映画祭2015で観ました。公開は10月24日以降の予定です。