2009年に他界した伊藤計劃著のプロットを円城塔が引き継いで完成させた小説を映画化したアニメです。
この本は未読でしたけど伊藤計劃著の他2冊は読んでいたので、
あの独特の世界がどんな映像になるのかなと気になっていました。
近代へと移る時代の中で、こんな技術が発展していたら恐いなあと思うような世界が広がっていました。
21グラムの重さを探す旅は、世界の危機を救う冒険へと向かっていきました。
“屍者”とは何かがよく分かるシーンから始まる物語です。
19世紀のイギリスでは屍者を労働者として使役する社会が確立していました。
ジョン・H・ワトソン(細谷佳正)は友人フライデー(村瀬歩)と共に魂の存在を研究をしていた学生です。
一番の理解者であるフライデーを病気で亡くした彼は、遺言どおり親友の遺体を屍者化します。
屍体化は死者を入力されたシステムどおりに動かす蘇生技術ですが、屍者に意志や魂はありません。
ジョンは屍体化された親友の魂を取り戻したいと必死に研究を続けていました。
そんな彼のもとに諜報組織からある依頼が来ます。
100年前に作られた最初の屍者“ザ・ワン”の秘密が記されている“ヴィクターの手記”の捜索です。
ザ・ワンは屍者の中で唯一、自分の意志で動いていて、魂を持っていると言われています。
手記を読めば魂の秘密が解ると考えたジョンは組織の一員として世界を巡る旅に出ました。
それにしても、恐い世界でした~
死を越えた人たちが意志をなくしてロボットのように使役されていく世界なんて…
もしかしたら、映像がよりグロテスクに見えたせいかも知れませんけど、とても不気味に感じました。
そんな中で、主人公のジョンは魂を求めて手記を探す旅に出ます。
それはイギリスやロシアや日本など各国の思惑も絡まって、命を狙われながらの旅になります。
そして、明治初期の日本で手記を見つけながらも、ザ・ワンと共に逃してしまった彼は
世界滅亡を掛けた戦いに巻き込まれていきます。
魂を巡る物語の終焉は美しくも多くの死に彩られたものになっていきました。
この戦いが終わった後のジョンの姿が良くわからないなあと思って原作を読んでみたら、
結構、映画とは設定が違っていて、映画化に連れてこういうふうに変わっていたのかと理解できました。
伊藤計劃原作のあと2作がどんなふうに映画化されるのだろうなあと気になった1本です。
監督:牧原亮太郎 声の出演:細谷佳正 村瀬歩 楠大典 三木眞一郎 山下大輝 花澤香菜 大塚明夫 菅生隆之
2015年 日本
(20151003)
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公式サイトはこちらへ http://project-itoh.com/