第二次世界大戦中にリトアニアで大勢のユダヤ難民たちにヴィザを発行した一人の外交官の物語です。
予告編を観て、この作品は観なくちゃと心に決めていました。
世界を変えたいという想いと共に生きた主人公の生き様が深く心に響く作品でした。
時代が変わっても正しいことは変わらないと改めて思いながら観ていました。
物語は杉原千畝(唐沢寿明)の1940年代のリトアニア領事館での姿を中心に
若い頃の満州時代から1960年代の晩年までを描いていた作品です。
世界をより良く変えたいという信念を持って外交官という仕事をしてきた彼の姿は
悩みながらも人の心に寄り添うような生きざまを体現していました。
この作品の英語タイトルは“ペルソナ・ノン・グラータ”です。
外交用語で、好ましからざる人物として相手国から外交官待遇を拒否されることを意味しています。
実は満州時代の彼の活動により、ソ連から“ペルソナ・ノン・グラータ”に日本人で初めて指定されています。
ある意味、仕事が出来る人だと敵国からは思われていたのかもと感じました。
でも、現在のこの有名さとは裏腹に、かなり苦労をしているのですね。
特に外務省で正式に彼の功績を認められたのは2000年になってから。
それまでは彼の行動に厳しい評価をしていて、戦後にスギウラセンポの行方について問い合わせがあっても
そんな人物は過去にも現在にもいないと答えたほどです。
千畝をチウネではなくセンポと呼んでいたためですけど、冷たい対応ですよね(T_T)
それだけに、このヴィザ発行の事実も人々に知らされることは無いまま長い月日が過ぎて、
1986年に亡くなるまでに、彼の行動を評価してくれたのは彼に助けられた人々などごく一部だけです。
理解無い世界で生きていかなくてはならなかった状況が哀しかったです。
せめて、この作品で彼がどのように考え行動していったのかを知ることが出来て良かったと思いました。
観終った時、また一つ、歴史の事実を知ることが出来たなあと感じた1本です。
監督:チェリン・グラック 出演:唐沢寿明 小雪 ボリス・スジック アグニェシュカ・グロホウスカ ミハウ・ジュラフスキ ツェザリ・ウカシェビチ 塚本高史 濱田岳 小日向文世
2015年 日本
(20151220)
→
公式サイトはこちらへ http://www.sugihara-chiune.jp/