阿部サダヲさんのキラキラした瞳と松田龍平さんの何を考えているのか解らないような瞳が印象的でした~
篤平治(瑛太)が京の旅から意気揚々と戻ってくるところから始まる物語です。
お茶農家の篤平治は仕事が上手く行った上に可愛いお嫁さんを貰って来たのです。
でも、町に入る手前で賭け付けて来た町の顔役ともいえる肝煎の遠藤幾右衛門(寺脇康文)に
お嫁さんが乗っていた馬を取り上げられてしまいました。
実は吉岡には宿場町のために伝馬役といって、奥州街道を通る大名行列のために馬を用意したり
荷役を行う人足を雇うなど、他より多くの負担を強いられていました。
篤平治の帰郷したその日は、ちょうどそのための馬が足りなかったところだったのです。
伝馬役は町全体に重く圧し掛かっていて夜逃げをする町民が後を絶たず、町は寂れていく一方でした。
町の行く末を憂いでいた穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は命を掛けて代官へ直訴しようとしますが、
それに気付いた篤平治の気転でその場は何とかばれずに収まります。
でも、思いつめた十三郎の気持ちは治まらず、ガッカリ肩を落とすばかりでした。
その夜、飲み屋で落ち込んでいる十三郎の姿を見かけた篤平治は、自分の借金のことを思い浮かべて
殿様に金を貸してその利息を伝馬役に当てれば…と軽い思い付きを言葉にしました。
実際にはそんな大それたことは不可能と分かりきっていたので、彼はこの場での軽口と話を終えます。
でも、十三郎はそんな無謀な話に目を輝かせました。
それにしても、本当に聖人とも言いたくなるような人たちですね。
自分の故郷を愛し、大切に思うからこその行動だったのかも知れません。
けちで有名だった浅野屋甚内十三郎(山崎努)の密かな夢。
その夢を引き継いだ浅野屋の人々の想いと、父の夢を知らずに起こした十三郎の行動。
そんな中で、自己の利益のためではなく、名を立てるのでもなく、“控えめに”と自分を戒めながら
身を削るように貯めたお金は、町のためにと何年もの交渉をかけて目的地へ届けられました。
先代の夢を繋ごうとした浅野屋の人たちの姿にほろりとさせられてしまいました。
観終った時、辛抱強いと言われる東北の人たちの性格が良く解る話だなあとしみじみと感じた1本です。
監督:中村義洋 出演:阿部サダヲ 瑛太 妻夫木聡 竹内結子 寺脇康文 きたろう 千葉雄大 堀部圭亮 羽生結弦 松田龍平 山崎努
2016年 日本
(20160514)
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