将棋の世界って奥が深いなあと思いながら、静かに展開していく対局を見つめていました。
ある朝の出来事から始まる物語です。
店のシャッターを開けて表を見た店主は、ゴミ置き場に若者が倒れているのを見てビックリします。
スーツを着た若者を良く見ると、近所のアパートに住む村山聖(松山ケンイチ)でした。
慌てて大丈夫かと声を掛けた店主に、聖は将棋会館へ連れて行ってとお願いしました。
言われるままに軽トラックで将棋会館へ向かった店主は、聖の先導でひとつの和室へと向かいました。
そこには既に対戦相手がスタンバイしており、聖は着席するとすぐに対局の準備を始めます。
その様子を呆然と観ていた店主は、聖の入った部屋と他の大人数の部屋との違いに気付くと、
あのあんちゃんは何者だ?とつぶやきました。
聖は子供の頃から腎臓の難病を患っていて、入退院を繰り返す日々を送ってきました。
長引く入院で退屈しないように、聖に父が与えたのが将棋です。
彼はすぐに将棋に夢中になり、やがて頭角を現してきます。
そんな彼の最大の目標&ライバルとなったのは7冠に輝く羽生善治(東出昌大)でした。
それにしても… 神様に何を願うかというアンケートの聖の答えは切ないですね。
聖はずっと患っていた難病だけでなく、さらに癌にも侵されてしまいます。
手術が成功してもその後の生存率50%なんて、もし自分だったら絶望しか感じられないでしょう(T_T)
そんな中、聖はライバルとの闘いと名人戦への挑戦を胸に、命の限り前へ進もうとしました。
私は将棋のことはほとんど知らないので、対局が食事休憩があるほど長丁場になるとは知りませんでした。
看護師さんが付き添って何とか参加した羽生さんとの対局のシーンは
スクリーンから伝わってくる緊張感に息をのみました。
そして、勝負が決まった時の表情は勝った方も負けた方も本当に苦しそうで観ていて切なかったです。
そして、何と言っても松山ケンイチさんの体型と東出昌大さんのソックリ度にはびっくりしてしまいました。
松山さんの20キロ増量は半端無いですね~
そんな二人のシーンはどれも印象的でした。
中でも温泉地で対局した後、二人きりで飲みながら不器用に交わした会話は
ひとつひとつの言葉が心に残りました。
舞台挨拶ですっかりスマートになった松山さんが、公開初日が朝から雨なのも村山さんらしいと言っていて、
思わず笑ってしまいました(^^ゞ
観終った時、まさに命を掛けて将棋に挑んだのだなあとしみじみと思った1本です。
監督:森義隆 出演:松山ケンイチ 東出昌大 染谷将太 安田顕 柄本時生 北見敏之 筒井道隆 竹下景子 リリー・フランキー
2016年 日本
(20161119)
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