りりィさんのインパクトはジョニー・デップ並みでした~
夫(オダギリジョー)が蒸発して1年。双葉(宮沢りえ)は家業の銭湯を休業し、近所のパン屋で働いています。
最近、高校生の娘・安澄(杉咲花)は学校へ行きたくないとダダをこねるようになっていました。
それでも安澄を学校へ行かせましたが、双葉の勤務中に学校から連絡が入りました。
慌てて学校の保健室へ向かった双葉が見たのは、全身絵の具まみれになって泣くのを我慢している安澄でした(-_-)
翌日も何とか安澄を登校させた双葉は、勤務中に意識を失って倒れてしまいます。
病院で検査すると、癌が内臓だけでなく脳にも転移していて手の施しようが無く、余命数ヶ月という診断でした。
絶望に駆られて独りで頭を抱えていた双葉は、娘からまだ帰ってこないの?という電話で立ち上がります。
そして、銭湯を復活させるために、プロの探偵へ夫の行方を捜してもらうことにしました。
それにしても、この双葉は前向きなパワーを感じるキャラクターですね~
自分の辛い過去や自分の命の心配などはさて置いて、
これから残されてしまう家族のために笑顔を見せようとします。
子供には心配させないで、でも、自分が居なくても生きていけるようにと、どんどん行動を起こします。
その頑張りには、やっぱり母は強いなあと思ってしまいました。
予告編を観た時にちょっと心に引っかかったのは、学校で虐められて登校したくないという安澄を
双葉が必死に行きなさいと説得するシーンです。
無理に登校させてどうする?と思ったのですけど、ただ学校に行かなくてはならないからというのではなく
理不尽な行為に立ち向かいなさいという意味の説得でした。
なるほどと納得でした。理不尽を飲み込むと自分にとっても相手にとっても不幸ですよね。
そして、娘を心配してずっと帰りを待っている姿に、やっぱり愛があるなあと感じました。
考えると双葉自身はかなり不幸な哀しみを抱えた人生を送った人です。
でも、思い返すと彼女の笑顔が一番印象に残っています。
きっと自分と関わった人たちみんなへ前向きに生きるパワーを与えていく人なのですね。
彼女の大きな愛が“湯を沸かすほど熱い”のもなるほどなあと感じました。
あと、何と言っても俳優陣がいいです~
強い愛でいっぱいの母を演じた宮沢りえさんはもちろんのこと、
様々な困難にくじけそうになりながらも涙を湛えながら頑張ろうとする安澄役の杉咲花さんや
優柔不断で頼り無さそうだけど優しさと大きな心を持つ父役のオダギリジョーさんなど
本当に上手い役者さんが揃っていて、その演技にも引き込まれました。
そして、先日亡くなったりりィさんは、登場シーンは一瞬だったのですけど、
その姿だけで、ああなるほどと観ている者を納得させるような存在感でした。
ラストの全てを吹き飛ばすようなフィクションらしい展開には思わず、嘘!?と呟いてしまいましたけど、
観終った時、私も双葉さんに出会ってみたいなあと感じた1本です。
監督:中野量太 出演:宮沢りえ 杉咲花 オダギリジョー 松坂桃李 伊東蒼 篠原ゆき子
2016年 日本
(20161123)
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