1本目は『
僕の帰る場所』です。
ミャンマーから日本への移住を願いながら、受理してもらえなかったある一家の物語です。
日本への移住手続きを良く知らないまま日本へ来て数年が過ぎた頃、改めて手続きを取ると受理されません。
幼い子供たちは既に日本語しか話せませんし、日本へ居たいと願っています。
でも、日本の不受理に、精神的に不安定になってしまった母は、
子供二人を連れてミャンマーへ帰ってしまいました(T_T)
それにしても日本の厳しい現状には、何とも言えないとても寂しい気持ちになりました。
せめてこの妻には帰国しても受け入れてくれる実家があって良かったです。
でも、子供たちには親の事情など関係ありません。
慣れた世界から全く違う環境へ引越さなくてはならなくなった少年たちは、やり場の無い不満を募らせていきます。
特に小学校を転校させられた長男は、こちらでも日本語が使える日本語学校へ行きたいと願います。
せめて、その願いが叶いますようにと、観ている方も願わずには居られませんでした。
あと、何と言っても自然な演技が素晴らしかったです。
母役と男の子二人は本当の親子で、父役は初対面だったそうです。
撮影時、子供たちの弟くんはまだ3歳なので、この子がパパと呼んでくれるように慣れさせるのは大変だったかも知れません。
でも、スクリーンに映し出される姿は本当に親子で、お風呂のシーンとか、お風呂上りに髪を乾かすシーンとか
とても親密で優しい時間が描かれていました。
全体的には小さな物語かもしれませんですけど、この作品が伝える現状は大切ですね。
観終った時、この子供たちが大人になった時に、日本はどんな国になっているだろうかと想いを巡らせた1本です。
監督:藤元明緒 出演:カウンミャットゥ ケインミャットゥ アイセ テッミャッナイン 來河侑希 黒宮ニイナ 津田寛治
2017年 日本/ミャンマー 原題:Passage of Life
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公式サイトはこちらへ http://www.passage-of-life.com/ →
東京国際映画祭のサイトはこちらへ http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=39 2本目は『
私のヒーローたち』です。
マレーシアの地方を舞台に中学校に通う生徒たちの現状を描いたドラマです。
原作は数年前に出版されたノンフィクションで、監督さんはこの真実を伝えたいと製作に取り組んだそうです。
子供たちの現状には胸が痛みました。
遠い場所から通ってくる子が多いので、夜明けから歩き始めても遅刻してしまう子。
稼ぎ頭の父親が病気で働けなくなって、家のためにガソリンスタンドで働く道を選んだ子。
夫に逃げられた影響で精神を病んだ母にDVを受けながらも、必死に学校へ通おうとする子。
一番哀しかったのは、家からバイク通勤をしていた子が事故死してしまったこと。
貧しいのでヘルメットは買えず、被っていませんでした(T_T)
この田舎の学校は、全国的に見ると学習ランクも低くてたいした学校ではないのかも知れません。
でも、子供たちにとって学校は大切な場所です。
そして、子供たちの人生の自信になるようなことをさせたいと考えて
子供たちを英語スピーチコンテストに出場させようと、先生たちが頑張る姿には思いっきり応援したくなりました(^^)
観終った時、考えさせられたと同時にいい映画に出会えたなと感じた1本です。
監督:エリック・オン 出演:サンギータ・クリシュナサミー ザビエル・フォン アハマッド・アドニン・ジダン・ムスリム ヌル・イルディナ・タスニム・イスハック ワン・アドリン・マアシャ ファラ・ノルアズリナ・サフワン
2017年 マレーシア 原題:My Superheroes /Adiwiraku
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東京国際映画祭のサイトはこちらへ http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=167追伸
『僕の帰る場所』は第30回東京国際映画祭の“アジアの未来部門”の作品賞と国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞しました。おめでとうございます!