伊藤くん A to E

柚木麻子著の同名小説を、深夜ドラマを経て映画化した女性たちのドラマです。
原作もドラマも未見でしたけど、キャストが面白そうだなと気になっていました。
様々な女性たちの恋愛と心情がとても心に残る作品でした。

数年前に大ヒットドラマの脚本を書いて脚本家になった矢崎莉桜（木村文乃）は今でも人気の高い有名人です。
専門学校で脚本コースの講師をしたり、トークショーなどのイベントに出たりと忙しい毎日を送っていました。

でも、大ヒットしたドラマ以降、矢崎は脚本が書けていません。
いい案になればと、トークショーのアンケートに書かれている内容から、4人の女性たちを選び
本人たちに直接のインタビューをお願いしました。

女性たちはそれぞれに恋の悩みを抱えています。
お悩み相談のようなインタビューの中で見えてくる人間像を、矢崎は否定感いっぱいで聴いていましたけど、
次第に彼女たちの心情と悩みは、自分にも当てはまることがあると気付き始めました。

それにしても面白かったです～　主人公は伊藤くんと矢崎莉桜だと思いながら観始めたのですけど、
本当の主人公は登場する全ての女性たちなのですね。

彼女たちは“伊藤くん”という通過儀礼を経験して大きく成長していきます。
みんな、とても傷付いて苦しむのですけど、その苦しみの分、ちゃんと自分と向き合って
未来へと続く新たな姿を作り上げていくのです。
最後に見せてくれる彼女たちの姿は、心の強さを纏いながら輝いていました。

あと、究極の自己中人間・伊藤くんは、本当に嫌な言葉を場当たり的に吐いていくのですけど
その言葉たちが、実は日常会話にも出てきそうな気がしてくるところが面白かったです。
そして、何と言ってもこの伊藤くんを演じた岡田将生さんが上手くて凄いなあと思ってしまいました。

観終わった時、久々に等身大の女性たちと感じる作品を観たなあと感じた1本です。



監督：廣木隆一　出演：岡田将生　木村文乃　佐々木希　志田未来　池田エライザ　夏帆　田口トモロヲ　中村倫也　田中圭
2018年　日本　
（20180123）

→　公式サイトはこちらへ　http://www.ito-kun.jp/